寝る前に読む短い話を探すとき、いちばん困るのは「どれから読めばいいか」だと思います。布団に入ってから長い小説を開くと、続きが気になって目が冴えてしまうこともあるので、できれば読み終わる時間が先に分かっていてほしい。この記事では、オトスミ文庫で公開している作品のうち、読了目安が約2分から約4分のものを、その夜の気分ごとに並べました。
時間で選ぶなら
読了目安が約2分の作品は、読み始めてから迷う暇もなく終わります。約3分なら、飲み物を置いてひと息ついたあとの一本としてちょうどよく、約4分になると、物語の山がきちんと一つ来て、少し読んだなという手応えが残ります。3分で終えたい夜は2分から3分の作品から、5分ぐらい使ってよい夜は4分の作品か、2分の作品を二本続けて読むのがおすすめです。
ジャンルは、短編小説、ショートショート、童話、ミステリー、連載小説とさまざまですが、どれも一話で完結するか、第1話から読んで区切りがつくものにしました。眠りにどう効くかを約束する話ではないので、気楽に、読んでいて気が向く一本を選んでください。
くすっと笑いたい夜
一日の終わりに気持ちが重いときは、深刻な話より、肩の力が抜けるショートショートが向いています。オチのある短い話は、読み終えた瞬間に区切りがつくので、そのまま画面を閉じやすいのもよいところです。ここでは、朝の「あと五分」や遅刻の言い訳といった、誰にでも身に覚えのある題材の作品を選びました。
- あと五分の国(約2分):目覚ましを止めて「あと五分」と思った瞬間に迷いこむ、全員が「あと五分」を探している国の話。
- 完璧な言い訳(約3分):言い訳が見事すぎて誰も反論できない男が、初めて本当の理由で遅れた朝の話。
- しりとりの王国(約2分):「ん」で終わると追放される国で、新しい王様がひとつの特別なルールを決める。
ちょっと不思議な夜
現実から半歩だけ外れた話を読むと、頭の中の今日の続きが切り替わります。ミステリーといっても血なまぐさい話ではなく、宿帳や荷物といった身近なものから始まる、少し不思議な物語です。
静かに考えたい夜
騒がしい一日だったからこそ、人の暮らしのひとコマを、短く味わいたい夜もあります。ここに並べたのは、派手な事件は起きないけれど、読み終えたあとにふと自分の身の回りのことを思い出す作品です。誰かを探したり、何かを受け取ったりする話が多いので、読み終えて一分ほど天井を見ているのにも向いています。
- 忘れ物の傘(約2分):終電の一本前の電車に毎晩置き去りにされる青い傘と、持ち主の老人が明かした理由。
- 祖母のレシピノート(約2分):分量も手順もほとんど書かれていない祖母のノートの余白に、孫の美咲がもうひとつの意味を見つける。
- 海辺の郵便ポスト(約3分):使われなくなったはずのポストに毎朝届く宛名のない手紙を、郵便局員の真琴が追う。
子どもと読み聞かせの夜
大人が声に出して読むなら、情景が目に浮かぶ童話がいちばん読みやすいと思います。次の三本は約2分で終わるので、子どもが「もう一回」と言っても二周できる長さです。眠そうな子の様子を見ながら、途中で止めてもよいですし、大人がひとりで読んでも楽しめます。
- 月をひろった子ぎつね(約2分):池のほとりで拾った白くて丸いものは空の月で、森のみんなで返しに行く。
- ふくろうのよみきかせ(約2分):夜の森で毎晩ひとつだけお話を聞かせるふくろうに、子りすが続きをせがむ。
- ねこ先生のひるね教室(約2分):眠れない子ねこのみけが、ひるねの名人のねこ先生に日だまりの見つけ方を習いに行く。
続きものを読みたい夜
一話で終わる話より、明日もこの続きが待っていると思える物語のほうが落ち着く人もいます。連載は、毎晩一話ずつ読み進めると、眠る前の習慣のようになっていきます。どちらも第1話から読めて、一話ごとに区切りがあるので、今夜はここまでと決めやすい作りです。
- 星見坂の下宿 第1話 坂の上の下宿(約2分):大学入学を機に古い下宿「星見荘」へ引っ越してきたひなたと、大家のトメさんのふたつの決まり。
- 落とし物係の八重子さん 第1話 片方だけの手袋(約4分):バス停で拾った、ひもが片方だけ切られた手袋の持ち主を、八重子さんの推理で探す。
選べないときのコツ
どれも気になって決められないときは、今日の自分に必要なのが笑いなのか、余韻なのかを先に決めると早く選べます。それでも迷うなら、いちばん短い約2分の作品から入って、物足りなければもう一本という順番がおすすめです。
ほかの作品は、オトスミ文庫のトップページから、ジャンルごとに探せます。
