オトスミ文庫
暮らしと本と、ちいさな気づきのエッセイ
雨が四日続いた土曜の昼、近所のコインランドリーで乾燥機の終わりを待った。回るドラムと置き去りの漫画を眺めた四十分の記録。
傘は電車に忘れるのに傘立てには忘れない。理由を三つ考えて、三つ目で自分の仮説が崩れた。
一年のうちに自動改札で止められた回数を、場面を頼りに数えてみた。答えは七回で、今朝がその七回目だった。
賞味期限の切れた瓶が、冷蔵庫の奥から何本も出てきた。使いかけの理由を並べたら、あの頃の私が見えてきた。
メールもメッセージもある時代に、あえて一通だけ手書きの手紙を書いた日。書いてみて分かった、手紙にしかない時間のこと。
洗濯をするたびに、なぜか靴下が片方だけ消える。誰もが経験する小さなミステリーを、あれこれと本気で考えてみた。
予定のない昼下がり、駅のベンチに座って三十分、人の流れを眺めた。何もしない時間の中で見えてきたものについて。
夏の湿り気が抜けて、冬の冷たさにはまだ遠い十月の朝。あの空気を、いろいろな角度から言葉にしてみた。
毎週土曜日、開店前のパン屋の列に並ぶようになって気づいた、急がない時間の価値について。
新年のたびに買う手帳を、三月で放り出してしまう。それでも毎年買い続けて見つけた、「続かない手帳」とのつきあい方。