むかしむかし、ある森のいちばん大きな木に、ふくろうが住んでいました。ふくろうは毎晩、月がのぼると枝の上でお話を聞かせます。聞きに来るのは、うさぎやりす、こぎつねなど、森じゅうの動物たちです。お話はいつもひとつだけで、ふくろうは静かな声で、ゆっくりと語ります。
きょうのお話
この日も、動物たちは木のまわりにぐるりと集まりました。ふくろうは、ほう、と咳ばらいをして語り始めました。
「むかし、ひとりぼっちの小さな星がいました。夜空のすみっこで、一人できらきらしていました」
動物たちは、ふくろうの声にじっと耳をすませています。星は寂しくて、となりの星に声をかけてみるのですが、遠すぎて声は届きません。
「それでも、星は毎晩光りつづけました。いつかだれかが気づいてくれると信じて」
続きをお願い
お話がいちばん大事なところに来たとき、ふくろうはふっと口を閉じました。
「きょうはここまで。続きはあしたの晩に」
動物たちはざわざわしました。
「ええっ、そんな」
「いいところだったのに」
いちばん小さな子りすが、ふくろうの足もとまでとことこと駆けていきました。
「ふくろうさん、お願い。続きを教えて。ぼく、あしたまで眠れないよ」
ふくろうは子りすをじっと見つめて、ふっと笑いました。
「では、ひとつだけ教えてあげよう。星は最後に、ひとりぼっちではなくなるんだよ」
子りすの目がぱっと輝きました。
「どうして?」
「それは、あしたの晩のお楽しみ。だから、ぐっすり眠っておいで」
あしたの晩も
動物たちはそれぞれの家へ帰っていって、子りすも、ふかふかの巣の中で丸くなりました。「あした、星はどうなるんだろう」と考えながら目を閉じると、夜の森に静けさがおりてきます。ふくろうは枝の上で月を見上げました。
「あしたも、聞いてくれる子がいるといいな」
次の晩も、そのまた次の晩も、動物たちは木のまわりに集まります。ふくろうの声は、森の夜をやさしく包んでいきました。
おしまい
