午前中に意見を聞いて閣議で決める

執筆者:

カテゴリ:

約3分で読めます

新しい元号は午前中に決まる 第5章

第1章から第4章までで、有識者の案を集め、六点で整理する段まで来ました。第2章の継承の条件のうえで、第3章の留意と考案のあとに続くのが、原案の選定と、意見を聞いて閣議で決める段です。選定手続では、内閣総理大臣の指示により、官房長官が法制局長官の意見を聴いて、新元号の原案として数個の案を選定します。考案と整理のあとに続く決定の列で、数個に絞った原案を懇談会や議長への意見聴取と全閣僚の協議に回します。原案選定から閣議までの一本道で、途中に意見聴取と全閣僚の協議が入ります。

原案について、まず官房長官が各界の有識者の参集を得て、元号に関する懇談会を開き、意見を求めます。その結果は内閣総理大臣に報告する、と手続にあります。総理は衆議院及び参議院の議長及び副議長である者に連絡し、意見を伺います。全閣僚会議において、新元号の原案について協議し、最後に閣議において改元の政令を決定します。意見を聞き、協議し、閣議で決める、という並びです。

書名が指す午前中に決まる、は、この型です。発表日の前日までに国民には明かさず、当日午前の懇談会から閣議までの手続を経て決定し、そのあと発表する、という流れです。平成三十一年四月一日午前の官房長官会見でも、その日に懇談会と衆参の正副議長の意見を伺い、全閣僚で協議したうえで閣議決定した、と説明されています。新しい元号は令和、とその場で示され、会見ページの見出しも平成三十一年四月一日午前、です。閣議決定の直後に名前が表に出た形です。

平成の改元は、型が違います。昭和六十四年一月七日、崩御の当日に改元の政令が決まり、内閣府の元号のページでも首相談話の日付がその日です。事前に発表日を区切って午前の手続を畳む令和の型とは、日程の作り方が異なります。いまの書名が指すのは、令和のときに目立った、当日午前に意見聴取と閣議を通す型のほうです。どちらも閣議で改元の政令を決める点は同じで、決定の場所は閣議、崩御当日型と発表日午前型は同じ手続の下でも別物です。

懇談会のメンバーは若干名で、官房長官が選考する、と手続にあります。未公表の候補名や個人名には立ち入りません。手続が並べるのは、原案の選定から懇談会・衆参正副議長への意見聴取・全閣僚会議を経て閣議までの順です。懇談会と衆参正副議長、全閣僚会議を挟み、午前中にこの列が動きます。閣議決定のあとに名前が表に出る、という公開された手続と、平成三十一年四月一日午前の会見の説明です。

次は、決まったあと、どう世の中に出るかです。

参考:首相官邸「元号選定手続について」/官房長官会見(平成31年4月1日午前)/内閣府「元号について」

前の章:有識者が候補名を考える

次の章:政令と読み方の告示で世の中に出る

ほかの読みもの