新しい元号は午前中に決まる 第6章
第1章から第5章までで、原案について意見を聞き、閣議で決める段まで来ました。決まったあとに並ぶのが、改元の政令と、読み方に関する内閣告示です。元号法の第一項は、元号は政令で定める、とだけ置き、読み方の条項は本則にはありません。二字の漢字と、その読み方を世に出す形は、政令と告示の対でそろいます。閣議で決めたあと、文書の形で名前と読みが出てくる段です。
第2章の継承を経て、第3章・第4章の候補を経た先に、平成三十一年政令第百四十三号が並びます。元号を改める政令は、元号を令和に改める、と定めます。同じ日に出た平成三十一年内閣告示第一号は、その読み方をれいわ、と示します。漢字の二字と仮名の読みが、政令と告示という別の文書で対になる形です。内閣府のページにも、政令と告示が並んで掲げられ、e-Govの法令検索ではこの政令は令和元年五月一日施行、と載っています。
附則の施行日は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法の施行の日の翌日です。特例法の施行日は平成三十一年四月三十日と書かれ、その翌日が五月一日です。四月一日に政令と告示が決まり、名前は先に発表され、実際に令和が始まるのは五月一日、という並びです。発表と施行のあいだに、およそ一か月の準備の日が置かれています。平成の改元は公布の翌日施行で、令和は特例法の翌日施行、という違いもあります。
典拠と意味は、改元に際しての内閣総理大臣談話にあります。万葉集の「初春の令月にして 気淑く風和ぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫す」から引用した、と談話は書き、続けて人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ、という意味が込められている、と説明します。万葉集の一節から二字を取り、談話がその意味を言葉にしています。典拠の説明と意味の説明が、談話の中で対になり、二字の由来がここに書かれます。
実務の側では、改元に伴う元号による年表示の取扱いについて、平成三十一年四月一日の関係省庁連絡会議の申合せがあります。改元日以降に作る文書では令和を用いる、といった年表示の方針が、この申合せに並びます。情報システムの改修の手順までは追いません。政令と告示で名前と読みが出たあと、年の書き方の取扱いが申合せで示される、という並びだけを押さえます。西暦併記の現場の細部より、申合せがある、という事実が先です。
政令が二字を定め、告示が読みを定め、談話が典拠と意味を述べ、施行日で新しい年が始まります。第1章の二項の法律から始まった道は、政令と告示と談話と施行日で、世の中に出る形になります。
参考:内閣府「元号について」/e-Gov「元号を改める政令」/内閣府「改元に伴う元号による年表示の取扱いについて」
前の章:午前中に意見を聞いて閣議で決める