新しい元号は午前中に決まる 第3章
第1章と第2章までで見た元号法の本則には、候補の条件表はありません。第一項は政令で定める、第二項は継承のときに限り改める、の二文です。名前の中身をどう揃えるかは、別の文書に置かれています。昭和五十四年十月二十三日の閣議報告、元号選定手続についてです。のちに昭和五十九年と昭和六十四年に一部改正がありますが、候補名の整理で留意する六点の骨格はここにあります。
そのなかの候補名の整理で、内閣官房長官が留意するとあるのが六点です。一つ目は、国民の理想にふさわしいよい意味を持つこと、という書き方です。漢字二字であること、書きやすいこと、読みやすいことが続きます。過去に元号やおくり名として使われたものでないこと、俗用されていないことが、あとの二つです。アからカまでの短い条件表で、手続の文言もこの六行の長さです。
よい意味の側には、国民の理想としてふさわしいような、という前置きがつきます。漢字二字は、いま見慣れた元号の形そのものです。書きやすさと読みやすさは、日常で書き、日常で読む前提の条件です。過去の元号やおくり名との重複を避け、俗用も避ける、という二段で、新しさとくだけすぎないことの両方を見ます。六つとも一文ずつで手続本文に長い解説は並ばず、短い条件ほど抜け漏れなく見る前提です。
これは名簿の出入りを追う表ではありません。提出された候補名を、同じ物差しで検討し整理するための留意点です。官房長官が検討及び整理に当たって留意する、と手続にあります。合格発表の一覧ではなく、整理のときのチェック項目です。考案者から出た案をこの六点で検討し整理する、という順番で、候補名そのものの中身を公開する手続ではなく、まず枠をそろえる段階です。
内閣府のページに並ぶのは、元号法の二項と、改元の政令などです。候補の六点は、そちらの本文には出ていません。法律の骨格と、選定の手続が分かれている、という第1章の続きでもあります。条件の原文は閣議報告の選定手続に残っており、e-Govの元号法本文を開いてもこの六点は出てこない構造で、条件表は手続文書の側にあります。
漢字二字という条件は、公用の漢字の話ともつながります。二字であること自体が、最初のフィルターの一つになっています。意味・字形・読み・履歴・俗用と並んで、形の条件が最初から置かれています。候補の中身を語る前にまずこの六点の枠があり、未公表の名前を当てる話ではなく手続に書かれた条件表の話です。枠が先で、中身の議論は次の段に回ります。
次は、その候補名を、誰が考えるかです。
参考:首相官邸「元号選定手続について」/内閣府「元号について」/e-Gov「元号法」
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