オトスミ文庫
メールもメッセージもある時代に、あえて一通だけ手書きの手紙を書いた日。書いてみて分かった、手紙にしかない時間のこと。
冬が来る前の森で、りすの郵便屋さんは、みんなに「ふゆじたくのお手紙」を配ってまわります。
雪の積もった朝、庭に一組の足あとだけが残っていた。玄関から門まで。ただし戻ってきた足あとは、どこにもない。
市役所の三番目の窓口に、老人が風変わりな証明書を申請しにきた。「わたしがここにいたことの証明書をください」。
創業六十年の豆腐屋を、三代目の健太は今月で閉めるつもりでいる。いつも一番に来る常連の老女に、どう切りだせばいいのか。
認知症の祖父は、孫の私を知らない女性の名前で呼ぶ。その名前をたどった先で、私は祖父の若い日の、ひとつの約束を知った。
洗濯をするたびに、なぜか靴下が片方だけ消える。誰もが経験する小さなミステリーを、あれこれと本気で考えてみた。
読み終えた本の内容を、数日で忘れてしまう。そんな悩みを解決する、一冊につき「一行だけ」を書く小さな読書ノートの作り方。
雨あがりの朝、男の子の長ぐつが水たまりの中へぽちゃんと入りました。そこにはふしぎな国が広がっていました。
毎日、昼どきに混み合う蕎麦屋で、いつも同じ人と相席になる。名前も知らないのに、わたしはその人の箸の持ち方まで覚えてしまった。