オトスミ文庫
古書店に持ち込まれた詩集の、ちょうど真ん中のページがきれいに切り取られていた。店主の沙耶は、切り取られた理由をたどっていく。
朝、目覚まし時計を止めて「あと五分」と思った瞬間、僕は不思議な国に迷いこんだ。そこでは全員が「あと五分」を探していた。
十五年ぶりの同窓会を引き受けた幹事の美和は、返信のなかった同級生の名前を、ひとりずつ思い出していく。
引っ越し屋のアルバイト歴六年の俺が見てきた、荷物の中身と人の暮らし。今日の依頼人は、少し変わったおばあさんだった。
予定のない昼下がり、駅のベンチに座って三十分、人の流れを眺めた。何もしない時間の中で見えてきたものについて。
書いてみたいけれど、何から始めればいいか分からない。短い物語を一本書き上げるための、五つのやさしい手順を紹介します。
森のどんぐり学校の、年にいちどの遠足の日。小さなどんぐりの「ころん」は、道のとちゅうではぐれてしまいます。
会社のコピー機の前に、毎朝付箋が一枚貼られている。差出人は分からない。ただ、その一言を読むことが、一日の始まりになっていた。
山あいの小さな温泉旅館には、客室が十二しかない。それなのに宿帳には、毎年一晩だけ、十三番目の客室の予約が入る。
町でただひとつの映画館が、今日で閉館する。映写技師の老人と、最後の客になった少女のあいだに、言葉はほとんどなかった。