オトスミ文庫
毎晩二十三時きっかりに、上の階から七歩だけ足音がする。気になって調べ始めた私は、郵便受けの中で答えの端を見つけた。
日曜の午後、カフェで本を読んでいたら、隣の席で別れ話が始まった。聞くつもりはなかったのに、口を挟んでしまった。
配達員のミナトは、眠れない女の枕もとで、受け取り手のいない夢を抱えて立ちつくす。規則では、夜明け前に返すはずの包みだった。
森のきつねとたぬきが、どちらがよく寝ぼけるかを競いました。朝いちばんの勝負に、審判のふくろうまで巻きこまれます。
遅刻の言い訳が見事すぎて誰も反論できない岡部が、初めて本当の理由で遅れた。あまりに突飛で、誰ひとり信じなかった。
終点で毎晩ひとり眠り続ける乗客を、駅員の三浦は起こして降ろしている。ある夜、その客が降りたくない理由を口にした。
行きつけの和菓子屋が閉店する。落ち込む八重子さんと、棚の奥の古いノート。連載の最終話。
鍵のかかった預かり所のカウンターに、毎朝、百円玉が置かれている。置いていく人は何かを返しているのだ。
預かり所に傘が二本。どちらも黒い長傘。「自分のだ」と言う男の人は、傘の中を見ようとしなかった。
バス停で拾った、ひもが片方だけ切られた手袋。持ち主を探す八重子さんの推理は、勘から始まる。