常用漢字から消えた五文字 第2章
第1章では、常用漢字表の字数が1945字から2136字へ変わったことと、追加196字・削除5字という増減を見ました。この章では、その改定で名簿から消えた5字の中身を一つずつ確かめます。
どの字が外れたのかを、文部科学省の一覧と現行の本表に照らして追います。字数の変化は第1章で見たので、ここでは退場した字種そのものに焦点を移して確認します。
削除されたのは、勺・錘・銑・脹・匁の5字だけです。文部科学省の「文化審議会答申『改定常用漢字表』について」には、読みがシャク・スイ・セン・チョウ・もんめと並んでいます。
5字の顔ぶれと読みは、この資料の削除字種の一覧にそのまま示されています。文化庁が公開する現行の常用漢字表PDFの本表を照合しても、勺・錘・銑・脹・匁は掲げられていません。名簿から消えた、という言い方は、いまの本表にこの5字がない、という事実と重なります。
追加は196字、退場は5字です。入る字が多く、出る字は少ない、という非対称が数字に現れています。昭和56年の1945字から5を引き196を足すと2136になる、という計算は第1章で見たとおりです。
この章で押さえるのは、退場した側が勺・錘・銑・脹・匁に限られる、という事実です。増えた196字の中身はのちの章に回し、ここでは消えた側の5字だけを名簿の出入りの事実として見ます。
なぜ消えたかについては、出典がある範囲にとどめます。文科省の資料は、出現の多さや造語力の有無、読み取りやすさなどの観点から196字を足し5字を外した、と書いています。
観点は複数あり、出現頻度の高低だけで機械的に切った、という書き方にはなっていません。文化審議会の「改定常用漢字表」答申は、いまの常用漢字表から外す字種の候補として5字を選んだ、と記しています。
その後、出現文字列頻度数調査で追加候補と削除候補の使われ方を1字ずつ確かめた、ともあります。
個別の字について、この字はこういう理由で消えた、と推測する記述は、ここでは置きません。答申には、当時の常用漢字としては銑の出現順位がもっとも低く4004位だった、という記述もあります。
検討の範囲を示す数字として短く触れるだけにとどめ、5字全体の削除理由を銑だけで説明することはしません。選定の観点は出現頻度など複数あり、答申も候補の確認に調査を重ねたと書いています。
削除の中身を一覧で確かめ、選定の観点を資料の文言で押さえるところまでがこの章の役割です。勺・錘・銑・脹・匁という5字の退場を数字と資料の言葉で確認した、というのがこの章のまとめです。
次の章では、追加された字のうち固有名詞まわりの例外を見ていきます。
参考:文部科学省「文化審議会答申『改定常用漢字表』について」/文化庁「常用漢字表」PDF/文化審議会「改定常用漢字表」答申
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