まとまった休みより短い復習のほうが覚えている

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ノートがきれいな人ほど落ちやすい 第3章

休日にまとめて進めるのと、短い時間を何度も重ねるのとでは、何が違うのでしょうか。先に答えを言うと、覚えたことが長く残りやすいのは後者です。同じ時間を使うなら、一度に詰め込むより、間を空けて何度も触れるほうが記憶にとどまりやすいのです。

平日は仕事で手いっぱいなので、勉強は週末にまとめてやる。社会人にとって、これはごく自然な考え方です。土曜の朝から机に向かい、夕方まで参考書を進めれば、ずいぶん前に進んだ手ごたえがあるでしょう。

ところが水曜日に同じページを開くと、思ったほど覚えていないことに気づきます。これは怠けたせいでも、記憶力が弱いせいでもありません。まとめて覚えた内容は、短い間に何度も目にしているぶん、その場ではよくわかった気がします。けれどその感覚は、数日のうちに薄れやすいのです。

第2章で触れた論文では、時間を空けて繰り返す学習、いわゆる分散学習も比べられています。そこでは、分散学習は効果が高いと評価されています。一方で、まとめて学ぶことに効果がないと言われているわけではありません。集中すれば、その日のうちは確かに頭に入ります。違いが出るのは、時間がたったあとに何が残っているかです。

ここにも、この本で見てきた「やった気」の問題があります。長い時間を一気に使った日は、達成感が大きくなります。それに比べて、十五分だけ前回の範囲を見直す作業は、地味で進んだ気がしません。けれど、あとまで残りやすいのは地味なほうです。手ごたえの大きさと覚えている量は、ここでもぴったりとは重なりません。

なぜ間を空けると残りやすいのでしょうか。理由の一つとして考えられているのは、少し忘れかけたところで思い出そうとする手間です。すぐに読み返すと、内容がまだ頭に残っているので力をほとんど使いません。数日たってから向き合うと、思い出すのに少し苦労します。その苦労が、記憶をもう一度結び直すきっかけになると考えられています。

仕事をしながら取り入れるなら、おすすめしたいのは、平日の細切れの時間を「復習の枠」として決めておくことです。通勤の電車で一ページだけ、昼休みの最後の十五分だけ、寝る前に五問だけ。新しい範囲を進める時間ではなく、前に学んだところへ戻る時間として使います。

休日の勉強をやめる必要はありません。まとまった時間は、新しい範囲を読み進めるのに向いています。そのうえで、土曜に進めた所を月曜の通勤で見直し、水曜の昼休みにもう一度確かめる。一つの範囲に何度か戻る流れを作れば、休日に積み上げた分が残りやすくなります。

復習の枠で何をするかも大切です。ただ読み返すだけでは、また「わかった気」で終わりかねません。短い時間だからこそ、本を閉じて要点を言ってみる、問題を一つ解いてみるといった、思い出す作業に使うのが向いています。

一回の時間は短くてかまいません。大切なのは、間を空けて何度も戻ってくることです。週末の長い勉強が太い柱なら、平日の短い復習はそれを支える何本もの添え木です。

ただし、思い出す練習にも落とし穴があります。解説を読んで「なるほど」と思えた直後は、いちばん覚えた気になりやすい瞬間でもあります。次の章では、解説を読んだ直後がなぜいちばん危ないのかを考えます。

参考:Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. DOI: https://doi.org/10.1177/1529100612453266

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