正答と採点除外も公表される

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資格試験の問題はだれが作っているのか 第5章

第4章の終わりで、医師国家試験では実施結果を踏まえて問題の妥当性を検討していることに触れました。試験の正解は作った側だけが知っていて、外からは確かめられないと思われがちです。実際には、正答そのものに加えて、問題に不備があったときの扱いまで公表している試験があります。

この章では、医師国家試験と情報処理推進機構(IPA)の試験で、公開されている範囲を確かめます。先に言っておくと、二つの試験で公表の中身は同じではありません。

厚生労働省は、医師国家試験の合格発表ページに正答を載せています。令和8年3月16日に発表された第120回では、合格基準の下に参考として正答のPDFがあります。この正答値表には、A問題からF問題までの400問について、問題番号ごとの正答が並んでいます。複数を選ぶ問題は記号を並べて、数値で答える問題は数値で示されています。

第119回の発表ページには、もう一つ参考資料があります。「採点除外等の取扱いをした問題」として、E問題第28問が挙げられています。扱いは、複数の選択肢を正解として採点するというものでした。理由は、設問が不明確で、複数の選択肢が正解と考えられるためとされています。

同じ回の正答値表でも、E028だけは「正答1」の欄にA、「正答2」の欄にCが入っています。第119回で採点除外等の取扱いとして挙げられたのは、この1問です。

第120回の発表ページと合格発表の資料には、採点除外等の取扱いの項目がありませんでした。正答値表を見ても、正答が二つ以上の欄に分かれている問題はありません。毎回ではなくても、不備が見つかった回には扱いと理由を添えて公表しているわけです。ただし、どの会議で扱いを決めたのかは、今回の資料には書かれていません。

IPAは、過去問題のページで問題冊子と解答例、採点講評を公開しています。令和7年度の秋期試験では、応用情報技術者試験と四つの高度試験、情報処理安全確保支援士試験の分が載っています。ページの注意事項によると、解答例として出すのは多肢選択式の正解と、記述式の解答例と出題趣旨、論述式の出題趣旨です。

採点講評の対象は、応用情報技術者試験の午後問題と、その他の区分の午後Ⅰ・午後Ⅱの問題とされています。講評には、問題ごとの正答率の傾向や目立った誤答が書かれています。たとえば令和7年度秋期の応用情報技術者試験では、問2の設問2(4)の正答率が低く、素材の調達と関係のない効果を答えた解答が目立ったとしています。

同じページの更新履歴には、公開したあとに解答例を直した記録もあります。午後の解答例は2025年12月23日に掲載されました。翌24日には、情報処理安全確保支援士試験の午後の解答例で、設問番号と出題趣旨の誤記を訂正したと記されています。27日には、データベーススペシャリスト試験の解答例で、PDF化の際に下線が正しく変換されていなかった部分を更新しています。

ここで医師国家試験との違いが見えてきます。今回確認したIPAの過去問題ページには、採点除外等の取扱いにあたる項目は見当たりませんでした。IPAが公表しているのは解答例と採点講評、それに掲載後の訂正の履歴です。この章の題の「採点除外も公表される」は、医師国家試験について言えることだと読んでください。

受験に生かすなら、結果に納得できないと感じたときに、まず公式の正答と公表資料を確かめることです。自己採点は、非公式の解答速報ではなく、実施機関が出した正答で行います。医師国家試験なら合格発表ページの正答値表と参考資料、IPAの試験なら過去問題ページの解答例と更新履歴が手がかりになります。なおIPAのページは、個々の問題や採点結果についての問合せには応じないと明記しています。

ここまでの章で、名簿と出題基準、合格基準、正答と採点除外という公開資料を順に見てきました。次の章では、これらをつないで勉強の地図を作る手順を考えます。

参考:厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」/同「第120回医師国家試験 正答値表」/同「第119回医師国家試験の合格発表について」/同「第119回医師国家試験における採点除外等の取扱いをした問題について」/同「第119回医師国家試験 正答値表」/情報処理推進機構「問題冊子・配点割合・解答例・採点講評(2025年度、令和7年度)」/同「令和7年度 秋期 応用情報技術者試験 採点講評」

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