造幣局で作ってもまだお金ではない 第4章
第3章では、流通現金の総額を発行高と流通高から見ました。では、その硬貨にあたる貨幣の側は、いまどんな素材で造られているのでしょうか。
造幣局が示す現在製造している通常貨幣の表から、素材と寸法の六種類をたどります。章題の一円玉はアルミニウム一グラムは、その表にある一円アルミニウム貨幣の仕様そのものを指しています。軽い金属の一円から入り、六貨種の素材と大きさの並びを、表に沿って読んでいきます。第1章の製造の場と、第2章の発行の二系統の先に、この仕様の一覧があります。
造幣局の表によると、一円アルミニウム貨幣の素材は純アルミニウムです。量目は1g、直径は20mmです。六種類のなかでいちばん軽く、いちばん小さい通常貨幣にあたり、表の端を占めます。
額面は最小でも、素材と量目と直径ははっきりした数字で示されます。手に取ったときの軽さが、この1gという量目に対応している、と読むことができます。
通常貨幣は五百円から一円までの六種類です。五百円バイカラー・クラッドは素材がニッケル黄銅・白銅及び銅で、量目7.1g、直径26.5mmです。百円白銅は量目4.8gで直径22.6mm、五十円白銅は量目4gで直径21mm・孔径4mmです。
十円青銅は量目4.5gで直径23.5mm、五円黄銅は量目3.75gで直径22mm・孔径5mmです。一円の純アルミニウム1g・直径20mmは、この並びの端に置かれ、他の五貨種とは素材の系統も分かれています。
製造原価はどうかという問いには、造幣局の貨幣Q&Aが答えを示しています。国民の貨幣への信任を保つため、また偽造を助長するおそれがあることから公表しない、という位置づけです。
額面と原価を並べて語る材料は、公式には出ていません。この章では原価の推計には踏み込まず、非公表という公式の位置づけまでを押さえます。
額面と大きさも、単純な比例ではありません。造幣局の貨幣Q&Aは、各貨種の素材や大きさ、重さ、ギザや孔の有無などで見分けやすくしてきた経緯を短く説明しています。
その結果として、額面が高いほど大きいわけではない、と整理しています。百円や五十円が十円より小さく見えるのも、識別のための仕様の積み重ねの側にあります。見た目の大小だけで額面の高低を読むのは、ここでは足りないのです。
一円は純アルミニウム1g・直径20mmという核と、六貨種の素材の一覧と、原価は非公表であることと、大きさは識別の仕様であるという四点までが、この章の範囲です。第3章で見た流通高の硬貨も、中身を貨種ごとに開くとこうした仕様の集まりです。
素材と寸法の数字は公表され、原価の数字は公表されない、という境界がここにはあります。日常で触れる硬貨の感触の奥に、造幣局の表が示す素材と寸法の仕様が並んでいます。
次の章では、一度の支払いで使える枚数の上限を見ていきます。
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