節分の本 第7章
第6章では、柊鰯をいつまで飾るかを地域の記録から見ました。最後の章では、節分に太巻きを食べる恵方巻きの由来と、恵方がどう決まるのかを公的な資料からたどります。
農林水産省の「節分と恵方巻レシピ」によると、恵方巻きは節分の日にその年の恵方を向いて太巻きを食べる風習です。願い事を思い浮かべながら、黙って一本を丸かじりするものとされています。
同じページは、これを「商売繁盛、幸せを一気にいただく」という縁起かつぎだと説明しています。正月の「恵方参り」が姿を変えて、節分の習わしとして戻ってきたものだとも書かれています。
起源には諸説あるとされます。農林水産省が紹介する説の一つは、江戸時代の終わりから明治時代の初めにかけて、大阪の商人が商売繁盛を願って始めたというものです。ただ、この習わしは長いあいだ忘れられていたそうです。
同じページによると、ふたたび知られるようになったのは、大阪の海苔の問屋の組合による催しがきっかけだといわれます。その後、海苔を売る側の働きかけやコンビニの宣伝を通じて、全国に広まったと説明されています。
では、恵方とはどの方角を指すのでしょうか。国立国会図書館の「日本の暦」によると、陰陽家は方位の吉凶をつかさどる方位神を祭り、その吉凶を暦に書き記していました。方位神は今も一部の暦や占いで使われているそうです。
同じページは、方位神の一つである歳徳神のいる方角が「恵方」や「あきの方」と呼ばれ、何をするにもよい方角とされると説明しています。農林水産省のページは、恵方をその年の歳神様がいる方向と書いています。
恵方の決まり方について、農林水産省のページは干支によって決まると書き、方角はその年の十干によって決まるとも説明しています。恵方はその年ごとの方角なので、毎年同じとは限りません。
同じページの「恵方メモ」は、福を巻き込んだ太巻きを切るのは縁起が悪いことや、食べる途中で話すと福が逃げることが言い伝えられていると紹介しています。そのうえで、無理をせず食べやすい方法で食べてよいこと、大きさと縁起のよさは関係ないことにも触れています。
農林水産省は、節分のあとに恵方巻きが捨てられることが話題になったのを受けて、食品小売業者に需要に見合った販売を呼びかけています。季節の食べ物の食品ロスを減らすための取り組みです。
この本では、節分の日付の決まり方から始めて、鬼やらいと豆まき、落花生や年の数の豆、柊鰯と恵方巻きまでをたどりました。どの習わしにも土地や家による違いがあり、公的な資料で確かめられることと、地域に伝わる習わしをあわせて見るのが確実です。
参考:農林水産省「節分と恵方巻レシピ」/国立国会図書館「日本の暦」干支② 方位神/農林水産省「季節食品のロス削減」
前の章:柊鰯はいつまで飾るか