豆まきに落花生を使う地域

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節分の本 第4章

第3章では、豆まきに主に大豆が使われるようになった背景を見ました。ところが、大豆ではなく落花生をまく地域もあります。この章では、どこで落花生が使われ、なぜ落花生なのかを資料からたどります。

農林水産省北海道農政事務所は、北海道の行事食をまとめた「うけつぎたい伝統食 北海道の食ごよみ」を公開しています。その2月の欄には、節分の食べ物として落花生と炒り大豆、こんにゃく料理が並んでいます。

同じページは、全国からの移住者によって形づくられた北海道では、それぞれの故郷の食文化が家々に受け継がれていると説明しています。料理名は聞き取りや参考文献にもとづくもので、地域や年代によって呼び方が違うこともあると注記されています。

では、なぜ落花生なのでしょうか。ラジオ局の取材記事によると、北海道博物館の学芸員は、聞き取りで集めた理由を大きく三つに分けられるとしています。

一つ目は、殻つきなので床に落ちても中身を清潔に食べられることです。二つ目は、大豆より粒が大きく、まいたあとに片づけやすいことです。三つ目は、炒り大豆よりおいしくてやわらかいことだとされます。

同じ記事で学芸員は、落花生を使うのは北海道に限らないとも話しています。挙げられているのは東北地方や新潟県、長野県北部です。九州南部では鹿児島県と宮崎県と熊本県の名前が出てきます。雪の多い地域が目立つ一方で、雪の少ない九州南部も含まれるため、雪が直接の理由かどうかははっきりしないとされています。

落花生の業界団体の解説も、北海道や東北、新潟県や宮崎県などで落花生が使われると紹介しています。この解説では、こうした地域もかつては大豆を使っていたとされ、いちばん早く落花生に切り替えたのは北海道だといわれています。理由ははっきりしないとしたうえで、拾って食べても清潔なことや、炒った大豆よりおいしいことが挙げられています。

変化の報告は、ほかの地域にもあります。三重県の県史編さんの記事は、県内の節分行事は多様だが風習は変わりつつあると書いています。その例として、ピーナッツで豆まきをする家が現れたという報告に触れています。

取材記事の学芸員は、落花生をまく地域や家庭が全国的に少しずつ広がってきた感覚がある、とも話しています。ただし、どの地域でどれくらいの家が落花生を使っているかを示す公的な数字は、今回確かめた資料には見当たりませんでした。

大豆か落花生かは、地域や家の習わしによって違います。三重県の同じ記事は、まく豆と数えて食べる豆を分ける地域が多いことも紹介しています。次の章では、豆を年の数だけ食べる習わしを取り上げます。

参考:農林水産省北海道農政事務所「うけつぎたい伝統食 北海道の食ごよみ」/ラジトピ ラジオ関西トピックス「【北海道】節分の“豆まき”に「大豆」は使いません!」(北海道博物館への取材)/全国落花生協会「節分の豆まきと落花生」/三重県「節分行事あれこれ 薄れる「年頭」感覚」

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