オトスミ文庫
町の古い喫茶店で、月に一度だけ、メニューにない一品が黒板に現れる。常連の千尋は、その日の共通点を探り始める。
亡くなった祖母が遺した古いレシピノートには、分量も手順もほとんど書かれていなかった。孫の美咲は、ノートの余白に隠された、もうひとつの意味に気づく。
突然の雨に駆け込んだ小さな本屋で、店主の老人は客にだけ「いまの気分に合う一冊」を差し出す。傘を忘れた会社員の青木が受け取った本とは。
毎週土曜日、開店前のパン屋の列に並ぶようになって気づいた、急がない時間の価値について。
新年のたびに買う手帳を、三月で放り出してしまう。それでも毎年買い続けて見つけた、「続かない手帳」とのつきあい方。
言葉をつなぐことで続いてきた、しりとりの王国。「ん」で終わる言葉を言った者は追放される。新しい王様が決めた、ひとつの特別なルールとは。
毎朝、向かいのホームに立つあの人と、ペットボトルで合図を交わす。名前も声も知らないまま続いた、ひとつの季節の話。
図書館の返却ボックスに戻ってくる本には、毎回見知らぬ栞が挟まっている。栞の文字をたどった司書の杏子は、ひとりの人物にたどり着く。
買ったまま読んでいない本が増えていく。積読を責めずに、少しずつ崩していくための五つの小さな工夫をまとめました。
春が来る前にとけてしまう雪だるまは、畑のたねたちに一枚の手紙を書きました。冬の終わりに読みたい、小さな贈りもののお話です。