第3章までは気温の記録を見てきました。この章では、一日にどれだけの雨が降ったかの記録を見ていきます。
気象庁の歴代全国ランキングを2026年10月時点で見ると、日降水量の1位は神奈川県箱根の922.5ミリです。起日は2019年10月12日です。
この表も第1章の気温の表と同じく、各地点の観測史上1位の値を集めて上位20位までを並べたものです。箱根には、今も観測を続けている地点を示す丸印がついています。
比べる物差しとして、東京の年降水量の平年値を置いてみます。気象庁の平年値(1991年から2020年まで)によると、東京の年降水量は1598.2ミリです。
箱根の一日の雨をこの値で割ると、922.5÷1598.2で約0.577です。割合にすると約57.7パーセントで、東京で平年に一年かけて降る雨の6割近くにあたります。
2位は高知県魚梁瀬の851.5ミリで、起日は2011年7月19日です。1位の箱根との差は71.0ミリです。3位は奈良県日出岳の844ミリで、1982年8月1日の記録です。
上位20件のなかには、同じ2019年10月12日の記録がほかに2件あります。静岡県湯ケ島の689.5ミリ(14位)と、埼玉県浦山の635.0ミリ(19位)です。
第2章で見た寒さの表では、同じ起日の記録が7件並んでいました。雨の表でも、一つの日付の記録が神奈川、静岡、埼玉の3地点で上位に入っています。
この日の雨は、どんな台風によるものだったのでしょうか。気象庁は、この年の台風第19号に「令和元年東日本台風」という名称を定めています。
名称の一覧では、この台風による被害について、東日本の広い範囲での記録的な大雨によって、大河川を含む多くの河川の氾濫などが起きたと説明しています。
気象庁の災害事例のまとめによると、台風第19号は10月6日に南鳥島の近海で発生しました。12日の19時前に伊豆半島に上陸し、関東地方を通過して、翌13日の12時には日本の東の海上で温帯低気圧になりました。
同じまとめによると、10日から13日までの4日間に箱根で降った雨は合わせて1000ミリに達しました。東日本を中心に、500ミリを超えた地点は17地点でした。ランキングの922.5ミリは、このうち10月12日の一日分の値です。
第1章では暑さと寒さの差を、第2章と第3章では気温の表の両端を見てきました。雨の日本一は、一日で東京の一年分の6割近くになる量でした。
気温とは違う物差しでも、表のいちばん上には大きな数字が並んでいます。次の章では、風の記録へ進みます。
参考:気象庁「歴代全国ランキング」/気象庁「過去の気象データ検索 平年値(年・月ごとの値)東京」/気象庁「気象庁が名称を定めた気象・地震・火山現象一覧」/気象庁「令和元年東日本台風(台風第19号)による大雨、暴風等」