東京都のものになった六億八千万円

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なくした八十三億円と届いた四十五億円 第5章

令和7年の1年間に、警視庁管内で東京都のものになった現金は682,390,866円でした。約6億8千万円です。第1章から見ている警視庁の「遺失物取扱状況(令和7年中)」の処理状況の表で、「都帰属」とされている数字です。同じ区分の件数は1,498,816件、物品は1,136,156点でした。

東京都のものになる場合は、遺失物法第37条第1項に書かれています。落とした人がすべて権利を放棄したときや、公告のあと3か月以内に落とした人がわからないときが対象です。

そのうえで所有権を取得する人がいなければ、警察署長が保管する物は、その警察署のある都道府県に帰属すると定められています。第4章で見た2か月の期限を過ぎて、拾った人が所有権を失った場合も含まれます。法令で持つことが禁じられている物は、都道府県ではなく国に帰属します。

警視庁の案内も、拾った人が権利を手放した落とし物は東京都のものになると説明しています。

同じ表のほかの区分と、現金で比べてみます。拾った人に引き渡された現金は586,800,514円で、東京都のものになった現金はこれより95,590,352円多くなっています。件数では拾った人への引き渡しが1,978,544件で、東京都への帰属より多くありました。現金の額で見ると、この二つの順番が入れ替わります。

処理された現金は全部で4,500,695,964円で、東京都のものになった分はその15.2%でした。件数では33.3%、物品の点数では23.9%です。警視庁の統計の第133表の注記にあるとおり受理と処理の数は一致しないため、ここでも処理の数字を同じ単位同士で比べています。

品目ごとの内訳も同じページにあります。第2章の傘では、処理された275,406本のうち67,652本が東京都のものになりました。貴金属類では、処理された117,517点のうち68,526点が東京都への帰属で、四つの区分の中でいちばん多い数でした。

では、東京都のものになった現金や物品は、そのあとどうなるのでしょうか。遺失物法第37条は帰属する先を定めていますが、その先の使い道までは書いていません。

警視庁が公開している遺失物の取扱いの実施要綱には、東京都や国に帰属した物の処理は遺失物センターで行うとあります。ただ、統計のページにも落とし物の案内にも、使い道の説明はありません。現金が最終的にどう使われるのかは、今回確かめた公表資料からはわかりません。

帰属する先が東京都ではない落とし物もあります。同じ第37条第1項は、特例施設占有者が保管する物はその特例施設占有者に帰属すると定めています。次の章では、この特例施設占有者を通して、駅で落とした物が警察まで届かないしくみを取り上げます。

参考:警視庁「遺失物取扱状況(令和7年中)」/警視庁の統計(令和7年)第133表/e-Gov法令検索「遺失物法」第37条/警視庁「落とし物はどこへ行くの?」/警視庁「警視庁遺失物取扱規程実施要綱」

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