三か月たつと拾った人のものになる

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なくした八十三億円と届いた四十五億円 第4章

令和7年の1年間に、警視庁管内で拾った人に引き渡された落とし物は1,978,544件でした。約198万件です。第1章から見ている警視庁の「遺失物取扱状況(令和7年中)」の、処理状況の表にある数字です。

同じ表で、落とした人に返されたのは596,513件でした。件数同士で比べると、拾った人への引き渡しは落とした人への返還の約3.3倍にあたります。

拾った人のものになる区切りは、法律に書かれています。民法第240条によると、遺失物法に従って公告をしてから3か月以内に持ち主がわからない落とし物は、拾った人が所有権を取得します。

警視庁の案内も、3か月たって持ち主がわからないときや、持ち主が受け取りに来ないときは拾った人のものになると説明しています。拾ってから警察に届けるまでにかかった日数しだいでは拾った人のものにならないことがある、という注記も付いています。

ただし第3章で見たとおり、携帯電話やカード類など個人情報が入った物は拾った人には渡されません。

この年に処理された落とし物は、全部で4,498,284件でした。件数の割合では、拾った人への引き渡しが44.0%でいちばん多く、東京都への帰属が33.3%で続きます。落とした人への返還は13.3%、廃棄・任意提出は9.4%でした。

物品の点数で比べても、拾った人への引き渡しは1,722,281点で、返還の1,334,011点を上回っています。

約3.3倍という数字は、同じ表の処理件数同士を割ったものです。警視庁の統計の第133表は、受理と処理の件数は公告期間などのずれで一致しないと注記しており、ここでは処理の件数だけを使っています。

この表は一件ずつ突き合わせたものではありません。返されなかった物がなぜ持ち主に届かなかったのかは、この表からはわかりません。

現金で比べると、並びは件数と違います。落とした人に返された現金は3,229,585,264円、約32億円でした。拾った人に引き渡された現金は586,800,514円、約5.9億円です。

件数では引き渡しが返還の3倍を超えますが、現金の額では返還が引き渡しの約5.5倍になります。件数は件数同士、金額は金額同士で比べた結果です。

物が落とした人に返るときの決まりもあります。遺失物法第28条第1項は、物の返還を受ける遺失者が、物の価格の100分の5から100分の20にあたる報労金を拾った人に支払うと定めています。割合にすると5%から20%です。

同じ条の第2項は、物を受け取った施設の占有者がいるときは、拾った人と施設の占有者にそれぞれその半額を支払うとしています。処理状況の表には報労金の欄がなく、実際に支払われた額はこの表からはわかりません。

拾った人のものになったあとにも期限があります。遺失物法第36条は、所有権を取得した人が取得の日から2か月以内に物を引き取らないと、その所有権を失うと定めています。

警視庁の案内には、拾った人が権利を放棄しているときは東京都のものになるとも書かれています。次の章では、こうして東京都のものになった約6億8千万円の現金を取り上げます。

参考:警視庁「遺失物取扱状況(令和7年中)」/警視庁の統計(令和7年)第133表/e-Gov法令検索「民法」第240条/e-Gov法令検索「遺失物法」第28条・第36条/警視庁「落とし物はどこへ行くの?」

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