令和7年の1年間に、警視庁管内で拾われて警察に届けられた証明書類は819,602点でした。約82万点です。第1章から見ている警視庁の「遺失物取扱状況(令和7年中)」の数字で、届けられた物品全体4,850,775点の16.9%にあたります。
拾得物の上位5品目でも、証明書類は1位でした。2位の有価証券類は471,399点、全体の9.7%で、証明書類はその1.7倍ほどの数です。
同じ年に、証明書類をなくしたと届け出られたのは961,684点でした。約96万点です。第2章の傘とは逆に、なくしたと届け出られた数が拾われた数を142,082点上回っています。主な物品の表の中で、遺失届の数がいちばん多い品目でもあります。
では、届いた証明書類はどうなったのでしょうか。同じページの処理状況の表によると、この年に処理された証明書類は817,013点でした。このうち、落とした人に返されたのは574,375点です。
処理された817,013点を分母にすると、返された割合は70.3%になります。傘の1.7%と比べると、ずっと高い割合です。
残りは、表で「廃棄・任意提出」とまとめられた区分の242,638点で、処理合計の29.7%にあたります。拾った人への引き渡しと東京都への帰属は、どちらも0点でした。傘では拾った人への引き渡しがいちばん多かったのとは、まったく違う並びです。
処理の合計は、届けられた819,602点とは一致しません。警視庁の統計の第133表の注記にあるとおり、受理と処理の数は公告期間などのずれで一致しないため、ここでも処理の合計を分母にしています。
拾った人への引き渡しが0点なのは、法律の決まりと関係があります。遺失物法第35条は、拾った人などが所有権を取得できない物を挙げています。その中には、個人の身分や地位を証明する文書や、個人の秘密や連絡先が記録された文書などが含まれます。
同法第37条第2項は、こうした文書などを警察署長が受け取った場合の扱いを定めています。落とした人がすべて権利を放棄したときや、公告のあと3か月以内に落とした人がわからないときは、速やかに廃棄しなければならないとされています。
警視庁の案内も、携帯電話やカード類など個人情報が入った物は拾った人に渡さないと説明しています。
携帯電話類と財布類も、同じ表に並んでいます。携帯電話類は拾得が144,381点、遺失が225,236点でした。処理された144,064点のうち119,516点が返され、処理合計を分母にした割合は83.0%です。拾った人への引き渡しと東京都への帰属は、証明書類と同じくどちらも0点でした。
財布類は拾得が338,104点、遺失が358,305点でした。処理された337,601点のうち226,993点が返され、処理合計を分母にした割合は67.2%です。財布類では、拾った人への引き渡しが46,305点、東京都への帰属が64,144点ありました。
ここで見た数字も、すべて警視庁管内の令和7年のものです。返されなかった物がどんな事情で持ち主に届かなかったのかは、この表からはわかりません。次の章では、3か月たつと拾った人のものになるという区切りを取り上げます。
参考:警視庁「遺失物取扱状況(令和7年中)」/警視庁の統計(令和7年)第133表/e-Gov法令検索「遺失物法」第35条・第37条/警視庁「落とし物はどこへ行くの?」
次の章:三か月たつと拾った人のものになる