年に一度まとめて見るだけで十分になる

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家計簿を三日でやめた人から貯金が増えていく 第6章

ここまでの章で見てきた失敗は、つながっています。全部つけようとして止まる。平均貯蓄と比べて焦る。小さな我慢や極端な禁止に力を使う。変動費ばかり責めて、固定に近い支出を後回しにする。どれも、毎日の細かい記録や毎日の我慢を前提にしている点が共通しています。

最後に起きやすい思い込みがあります。「毎日つけないと家計管理にならない」というものです。記録が白紙の日が続くと、自分は向いていないと感じやすくなります。けれども家計の流れは、月や年の単位で見ても大まかにつかめます。書名の「三日でやめた人」は、ここで終わる人ではなく、ここからやり方を変えられる人です。

年に一度の見直しは、次のような手順で足ります。まず、通帳や口座の明細、カードの明細を一年分ざっと開きます。全部の取引を書き写す必要はありません。毎月同じ金額で出ていく引き落としと、金額の大きい費目だけを紙に書き出します。見直す日は、誕生日や年度の始めなど覚えやすい一日でかまいません。

固定に近い支出は、住居、光熱・水道、通信、保険などです。第5章で一覧にした顔ぶれを、一年分の明細と照らし合わせます。使っていないサービス、金額が上がったままの契約、更新の時期が近いもの。ここに印を付けるだけで、次の一年の地図が更新されます。

特定の会社や商品を選び直す必要はありません。今ある契約の金額と時期を確かめ、手元の一覧を一年分だけ更新する話です。

大きい費目の物差しは、すでに出てきた数字で足ります。2024年の二人以上の世帯では、消費支出は1か月平均300,243円でした。食料や交通・通信、光熱・水道のように月額の大きい費目を、自分の家計にもざっくり当てはめます。外食や日々の買い物は、ゼロにせず上限だけを置くという第3章と第4章の考え方をそのまま使えます。

貯蓄の位置も、年に一度見れば十分です。第2章で見たとおり、2024年の二人以上の世帯の貯蓄現在高は、平均値で1984万円、貯蓄保有世帯の中央値で1189万円でした。平均値を下回る世帯は67.0%です。単身の世帯は含まれず、負債を差し引く前の金額である点も、第2章と同じです。自分の数字が平均より下でも、分布のどこにいるかを見る材料として使います。

失敗の形は、「毎日つけられない自分」を責め続けることです。三日でやめた経験は、捨てる材料ではなく、やり方を軽くする材料です。年に一度、通帳と明細で固定に近い支出と大きい費目だけを確かめる。四半期ごとでもかまいませんが、毎日である必要はありません。

章題の「十分になる」は、完璧な記録がなくてもよくなるという意味です。見る場所と見る頻度が決まっていれば、毎日の入力がなくても家計の観察は続けられます。新しい金融商品を足す必要もありません。見る場所を絞り、見る頻度を落とす。三日でやめた人でも、そのリズムなら始めやすいはずです。

参考:総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」/総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果(二人以上の世帯)」

前の章:固定費を見ないまま変動費だけ責める

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