平均貯蓄を見ると自分だけが遅れている気がする

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家計簿を三日でやめた人から貯金が増えていく 第2章

第1章では、全部つけようとして家計簿が止まる失敗を見ました。家計を整えようとすると、次に出やすいのが比べる失敗です。「平均の貯蓄はおよそ2000万円」といった見出しを目にすると、自分だけが遅れている気がしてきます。

その数字の中身を、家計調査の貯蓄現在高で確かめてみます。貯蓄現在高は、その時点で持っている貯蓄の残高です。月々いくら貯めたかという額ではありません。

総務省統計局の家計調査(貯蓄・負債編)によると、2024年の二人以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高は、平均値で1984万円でした。対象は二人以上の世帯で、単身の世帯は含まれていません。また、この金額は住宅ローンなどの負債を差し引く前のものです。負債は別に集計されていて、同じ年の負債現在高の平均値は663万円でした。

一方、貯蓄のある世帯だけを少ない順に並べたときの真ん中、つまり貯蓄保有世帯の中央値は1189万円です。平均値との差は、およそ800万円あります。同じ「貯蓄」でも、どの指標を見るかで印象は大きく変わります。

なぜ平均値が高く出るのか。同じ報告では、平均値の1984万円を下回る世帯が約3分の2、67.0%を占め、貯蓄の少ない階級に偏った分布だとされています。一部の高額な世帯が、平均値を上へ引き上げていると考えられます。約3分の2が平均値より下にいるなら、平均以下は珍しい状態ではありません。

貯蓄がゼロの世帯も含めて真ん中をとると、中央値は参考値で1099万円です。真ん中あたりの世帯は、平均値よりかなり低い位置にあることがわかります。

失敗の形は、「平均=目指すべき水準」と決めてしまうことです。届かないと感じると、極端な我慢や、よくわからないお金の話に心が動くこともあるでしょう。平均値は焦りの材料にはなりやすくても、自分の家計の位置を知る道具としては粗いのです。

比べるなら、平均値だけでなく、中央値と平均値を下回る世帯の割合をセットで見ます。1984万円、1189万円、67.0%。この三つを並べるだけでも、「自分だけが遅れている」という感覚は和らぐかもしれません。

これは貯蓄を増やせという話ではなく、数字の読み方を一つ変える話です。第1章で見る場所を絞ったように、比べる数字も選んだほうがよいのです。焦りが薄れると、次に見直す費目も落ち着いて選べます。

次の章では、焦りから小さな我慢に走る失敗を、月額の大きな費目の数字と並べて考えます。

参考:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果(二人以上の世帯)」

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