固定費を見ないまま変動費だけ責める

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家計簿を三日でやめた人から貯金が増えていく 第5章

第4章では、外食をゼロにする極端なルールが続きにくい話を見ました。家計を見直すとき、もう一つ起きやすい失敗があります。日々の買い物や外食といった変動費ばかりを責め、毎月ほぼ同じ顔ぶれで来る支出を後回しにすることです。

変動費は目に入りやすい支出です。レシートが残り、買った記憶も残ります。一方で、口座から引き落とされる光熱費や通信費、保険料は、金額が大きくても日々の罪悪感につながりにくいことがあります。責める場所と数字の大きい場所がずれると、努力のわりに家計は動きにくくなりがちです。

固定に近い費目の規模を、家計調査で確かめます。2024年の二人以上の世帯では、光熱・水道は1か月平均23,111円、交通・通信は41,731円でした。年間の支出金額をまとめた品目別の表では、通信は年額141,354円、そのうち携帯電話通信料は年額110,180円です。月に直すと、通信はおよそ11,780円、携帯電話通信料はおよそ9,180円になります。

住居は1か月平均18,088円、そのうち家賃地代は8,054円でした。ここは読み方に注意が必要です。同じ二人以上の世帯の持家率は87.5%で、品目別の表によると家賃・地代を支払っている世帯の割合は11.5%にとどまります。

つまり家賃地代の8,054円は、家賃を払っていない世帯も含めて割った平均です。賃貸で暮らしている世帯から見ると、この数字はかなり低く感じられるはずです。平均の住居費が低いからといって、自分の家賃が高すぎると決めつける必要はありません。

保険料も、毎月や年払いで出ていく支出です。品目別の表では、火災・地震保険料は年額13,806円、任意の自動車保険料は年額38,079円でした。保険料は種類によって家計調査での扱いが分かれるため、ここでは品目別の表に載っている二つだけを挙げています。特定の会社や商品を勧める話ではなく、すでに入っている契約を一覧に載せるための数字です。

失敗の形は、変動費の我慢だけで家計をよくしようとすることです。固定に近い費目は、一度見直すとその効果が翌月以降も続きやすいと考えられます。毎日の買い物だけを責めると、気力は減るのに残高はあまり変わらないこともあります。

進め方としては、まず毎月同じ顔ぶれの支出を紙に書き出します。住居、光熱・水道、通信、保険、放送受信料など。見直しの観点は一般的なもので足ります。使っていないオプションはないか、同じ条件で金額を比べられないか、更新の時期はいつか。

これは新しい契約を探す話ではなく、手元の一覧を更新する話です。今の契約の金額と引き落とし日がわかれば十分です。

変動費を無視してよいという意味ではありません。見る順番を、目立つ支出から重い支出へ入れ替えるだけです。固定に近い費目の地図ができてから外食や日々の買い物の上限を置くと、第3章や第4章の話も生きてきます。

次の章では、毎日つけなくても家計が回る、年に一度の見直しのリズムを考えます。

参考:総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」/e-Stat 家計調査 品目分類(全品目)(2020年改定)支出金額(年)2020年~2024年

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