本棚の横に、買ったまま読んでいない本が積み上がっている。気づけば、背表紙の高さが膝のあたりまで来ていた。秋は読書の季節と言われるけれど、積まれた本の山を見ると、読む前に少し気が重くなる人も多いのではないだろうか。ここでは、積んだ本を責めずに少しずつ崩していくための工夫を、五つ集めた。どれも特別な道具はいらない。
一 そもそも積んだ本は悪くない
まず、積読は悪いことではない。読みたいと思って手に取った本が手もとにあるというだけで、すでに半分の価値がある。今すぐ読めなくても、読みたい気持ちが生まれたときにすぐ開けるのは、図書館にはない、自分だけの本棚の強みだ。罪悪感を持つ必要はまったくない。
二 一日五分だけ決まった時間に
本を読む習慣は、時間の長さより「いつ読むか」を決めるほうが続きやすい。たとえば朝のコーヒーを淹れる間、寝る前の歯みがきのあと、電車で座れた最初の五分。この五分だけはスマートフォンを置いて、本を開く。五分で読めるのはせいぜい数ページだけれど、一週間で三十ページ、一か月で百二十ページになって、薄い本なら一冊が読み終わる。
三 いちばん薄い本から手をつける
積んである本の中で、いちばん薄いものを選ぶ。理由は単純で、読み終わる確率が高いからだ。「一冊読み終えた」という経験は、思っている以上に次の一冊への背中を押してくれる。山の高さは変わらなくても、「減った」という実感が気持ちを軽くする。
四 最初の一文だけ読んでみる
どうしても気が乗らない日は、いちばん上の本を手に取って、最初の一文だけ読む。それだけで閉じてもいい。不思議なことに、一文読むと二文目が気になって、そのまま一ページ読んでしまうことも多い。始めるまでの敷居を、極限まで低くするのがコツだ。
五 「保留棚」を作って気にしなくする
何度手に取っても読み進められない本が、一冊や二冊はかならずある。そのときは「保留棚」に移す。本棚の端でも箱でもいいから、今は読まないと決めた本をひとまとめにしておくと、数か月後に見直したとき、不思議と読みたくなっているものも混じっている。もう読まなくていいと思えたら、そのとき手放せばいい。
今夜の最初の一冊
積読は、まだ出会っていない未来の自分の時間だと考えると、少し楽になる。今夜は山のいちばん上から一冊だけ抜き取って、最初の一文を読んでみよう。続きを読むかどうかは、そのときの自分に任せればいい。
