投稿者: オトスミ文庫 編集部

  • 百球の行方

    百球の行方

    百球のチューリップの球根が、一晩で町内の花壇から消えた。書記の水野は、先月その花壇に入れた土をよく覚えていた。

  • 八っつぁんの借り物

    八っつぁんの借り物

    金は貸さないが何でも一つ貸すと言われた八っつぁんが、長屋中の持ち物を思い浮かべて迷います。さて何を借りたものやら。

  • 物置の紙袋

    物置の紙袋

    父の一周忌が済んだ翌週、姉と弟は実家の物置を開けた。奥の棚には、紙袋と紐とガムテープの芯が三十年分積んである。

  • 歳末の二文字

    歳末の二文字

    毎朝六時四十分に、わたしは商店街の一日が始まる音を聞く。来月、その通りの屋根がなくなると決まった。

  • 月を貸した夜

    月を貸した夜

    光を失くした蛍が月に今夜だけ光を貸してほしいと頼みます。借りた光は強すぎて村中が起きてしまいました。

  • 麦茶の水位

    麦茶の水位

    両親が旅行に出た土曜の昼に帰ると玄関の鍵が開いていた。荒らされた跡はなく麦茶のポットだけが朝より減っている。

  • 二次会の受付で隣に座った人

    二次会の受付で隣に座った人

    友人の二次会で受付の席が隣になった。名前を聞いたのは、集めた会費を封筒に入れ終えてからだった。

  • あしたの天気は久世さん

    あしたの天気は久世さん

    天気を一日だけ決められる権利が町内の久世さんに当たった。頼みごとは四つあって、締切は夜の十一時だった。

  • 二時十四分のミルクティー

    二時十四分のミルクティー

    深夜のコンビニに毎晩同じ時刻に来る客は、温かいミルクティーを二本買う。レシートは一枚で、二本目の行き先は決まっていた。

  • ねずみのおひっこし

    ねずみのおひっこし

    ねずみの一家が引っ越しの荷物を、道で会う動物に預けていきます。着いてみると、預かる側になっていたのは一家のほうでした。