防火管理者とは

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防火管理者の本 第1章

『防火管理者の本』の目次:防火管理者の本

防火管理者は、消防法第8条が定める役目の名前だ。試験に受かって名乗る肩書きではなく、建物ごとに選ばれて決まる。総務省消防庁の令和6年版消防白書は、防火管理者を「自主防火管理体制の中核」と書いている。

第8条第1項は、まず「学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店」と複合用途防火対象物を挙げる。そのあとに「その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるもの」と続く。どの建物が政令で定めるものに当たるかは、消防法施行令第1条の2第3項が用途と収容人員の組み合わせなどで決めている。

選ぶのは、建物の持ち主とは限らない。条文は選ぶ側を「管理について権原を有する者」と書き、その者が「政令で定める資格を有する者」の中から防火管理者を定める。資格を定めた施行令第3条第1項は、講習の修了などの要件に加えて、その建物で防火管理上必要な業務を適切に遂行できる「管理的又は監督的な地位にあるもの」であることを求める。同条第2項は、管理的又は監督的な地位の人がみな遠隔の地に勤務しているなどの事由で消防長又は消防署長が認めた共同住宅などについて、この要件を読み替えている。

防火管理者に行わせる業務は、第8条第1項に次の順で並ぶ。

  1. 消防計画の作成
  2. 当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施
  3. 消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備
  4. 火気の使用又は取扱いに関する監督
  5. 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
  6. 収容人員の管理

条文はこのあとに「その他防火管理上必要な業務」と書き、ひとまとめにしている。訓練は、最初に挙がる消防計画に基づくものとして書かれている。

第8条第2項は、防火管理者を定めたときに「遅滞なく」所轄消防長又は消防署長へ届け出ることを求め、解任したときも同様とする。第3項によれば、防火管理者が定められていないと認めるとき、消防長又は消防署長は定めるよう命じることができる。第4項は、業務が法令や消防計画に従って行われていないときの命令を定めている。白書によると、令和6年3月31日現在、防火管理者を選任しなければならない防火対象物は全国に107万3,739件あり、そのうち90万1,725件で選任が消防機関に届け出られている。

管理の権原が分かれている建物には、別の役目もある。第8条の2は、高層建築物(高さ三十一メートルを超える建築物)などで権原が分かれているものや、消防長又は消防署長が指定する地下街について、全体の業務を統括する統括防火管理者を「協議して定め」るよう求めている。第36条は、火災以外の災害で政令で定めるものによる被害の軽減のため特に必要がある建築物などに第8条から第8条の2の3までの規定を準用し、防火管理者を防災管理者と読み替える。

同じ消防法には、試験に合格して免状を受ける危険物取扱者の制度もある(危険物取扱者の本)。防火管理者は免状の制度ではなく、資格を持つ人が建物ごとに選ばれて役目に就く。事業場ごとに管理者を選ぶ形は、労働安全衛生法の衛生管理者 選任にもある。

防火管理者の制度は、第8条第1項と第2項で組み立てられている。権原を有する者が資格を持つ人を選び、その人に防火管理上必要な業務を行わせ、選任と解任を消防機関に届け出る。統括防火管理者と防災管理者も、この形を土台にしている。

参考:e-Gov法令検索「消防法」/e-Gov法令検索「消防法施行令」/総務省消防庁「令和6年版 消防白書 3.防火管理制度」

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