二十三時間の日曜日があった

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日本は一度、夏時間をやめている 第3章

『日本は一度、夏時間をやめている』の目次:日本は一度、夏時間をやめている

時計を一時間進めると、どこかで一時間が消える。戻すと、どこかで一時間が二度ある。夏時刻法はこれを、一日の長さを決める条文で片づけた。制定時の第2条の前半はこうだ。

「四月の第一土曜日の翌日(日曜日)は二十三時間をもつて一日とし、九月の第二土曜日は二十五時間をもつて一日とする。」

後半は「夏時刻の期間中のその他の日はすべて二十四時間をもつて一日とする。」と続く。法律が二十三時間の日と二十五時間の日を名指しし、残りの日が二十四時間であることまで書き添えている。

期間の端は、制定時の第1条にある。始まりは「四月の第一土曜日の午後十二時」、終わりは「九月の第二土曜日の翌日の午前零時」。この二つの時刻のあいだ、時刻はすべて中央標準時より一時間進む。

1948年(昭和23年)4月28日の参議院本会議では、労働委員会の報告がこの仕組みを読み上げている。報告によれば、四月の第一土曜日に次ぐ日曜日は「午前一時より始まる」。だからその日は二十三時間になる。九月の第二土曜日は二十五時間とされ、次の日曜日の中央標準時の午前零時に、中央標準時へ戻る。

消える一時間と、二度ある一時間についても、報告は具体的に述べている。

  1. 日曜日は「午前零時より一時までの一時間が消滅」する
  2. 九月の第二土曜日は「午前十一時より翌日の午前零時まで」が二時間になる

二つ目は、報告ではこのとおり読み上げられている。条文の第2条が定めているのは、その土曜日を二十五時間で一日とすることだ。

報告では、始まりの時刻も「四月の第一土曜日の中央標準時の午前十二時から」と読み上げられている。条文の第1条の表記は「午後十二時」で、本書は条文の表記に従う。

一日の長さが変われば、時間で数える決まりにずれが出る。第3条は、この点を政令に任せた。

「この法律の施行に関し、時間の計算に関する他の法律の規定の適用について必要な事項は、政令で、これを定める。」

報告は理由をこう説明する。両日にまたがる法律関係について、時間の計算上「特別手当を必要とする場合が予想せられます」。それを政令で定めるのが妥当と考え、委任の規定を置いた。

この委任にもとづく政令の案が、国立公文書館の閣議書類に残っている。題は「夏時刻終了の際における労働基準法の特例に関する政令」。九月の第二土曜日から翌日の日曜日にかけて働く労働者について、時刻の調整に伴い、その日に限って労働時間を一時間延長できるとしている。延長した分には、労働基準法第三十七条の割増賃金を払わなければならない。二十五時間の土曜日は、働く時間の決まりにまで届いていた。

条文は第3条で終わり、あとは附則だけだ。施行は公布の日からで、一年目の始まりは附則で五月に繰り下げられた(第1章)。

本則三条のうち、一条がまるごと一日の長さに使われている。日曜日を二十三時間にし、九月の土曜日を二十五時間にする。それを毎年くり返す前提で作られた法律だった。翌年、法律どおり四月から始めてみて、その始まりの時期が問われることになる。

参考:衆議院「夏時刻法(昭和23年法律第29号)」/国会会議録検索システム「第2回国会 参議院本会議 昭和23年4月28日」/アジア歴史資料センター「夏時刻終了の際における労働基準法の特例に関する政令(労働省)」(国立公文書館所蔵)

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