第1章では、最低気温の上位20件で北海道以外の地点は静岡県富士山だけだと書きました。この章では、気象庁の歴代全国ランキングを2026年10月時点でもう一度開いて、その19件の並びを見ていきます。
上位3件はすべて北海道の地点です。1位は旭川のマイナス41.0度、2位は帯広のマイナス38.2度で、どちらも1902年1月の記録です。3位は江丹別のマイナス38.1度で、北海道以外でただ一つ入っている富士山はマイナス38.0度で4位です。
旭川地方気象台によると、旭川の記録は1902年1月25日に、気象台の前身にあたる上川二等測候所で観測されました。気象台は、気象官署の観測としては国内でいちばん低い気温だとしています。
19地点を地方別に数えると、上川地方が12地点で最も多くなります。旭川・江丹別・幌加内・美深・和寒・下川・占冠・朱鞠内・名寄・中川・士別・音威子府です。
残りは宗谷地方の歌登と中頓別、網走・北見・紋別地方の佐呂間と滝上が2地点ずつです。十勝地方の帯広、後志地方の倶知安、留萌地方の幌糠が1地点ずつ入っています。
起日の欄にも偏りがあります。1978年2月17日の記録が7件あり、江丹別・歌登・幌加内・美深・下川・佐呂間・滝上が同じ日付で並びます。1985年1月24日と25日の記録も、和寒・中頓別・中川・幌糠・士別の5件があります。
同じ日に7地点で記録が出た理由は、今回確かめた気象庁の資料には書かれていません。ここでは、表の上で起日がそろっているという事実だけを示しておきます。
一方で、上川地方の冷え込みについては旭川地方気象台の説明があります。上川地方は盆地にあるので、風が弱く晴れた日の朝は放射冷却によって特に冷えやすいというものです。
気象庁の予報用語では、放射冷却は「地表面の熱が放射によって奪われ気温が下がること」とされています。気象庁の子ども向けのページでは、風の弱い晴れた夜は冷えた空気がほかの空気とあまり混ざらないと説明しています。さらに地面の熱が雲に邪魔されずに空へ逃げていくため、冷え込むのだそうです。
ただし、旭川地方気象台の説明は上川地方についてのものです。北海道のほかの地方の地点や、1978年2月17日の記録を一つずつ説明したものではありません。
寒さの偏りは、最高気温の低い方からの表にも出ています。一日のうちで最も高い気温がどれだけ低かったかを並べた表です。1位は富士山のマイナス32.0度(1936年1月31日)で、2位は旭川のマイナス22.5度(1909年1月12日)です。3位は和寒のマイナス21.2度、4位は名寄のマイナス20.3度と続きます。
この表の上位20件で北海道以外の地点は、富士山と徳島県剣山の2地点だけです。上川地方の地点は14件を占めています。
ここまでは、表の寒い側の端を見てきました。次の章では、最低気温の表を反対の端から、つまり高い方から見ていきます。
参考:気象庁「歴代全国ランキング」/旭川地方気象台「上川・留萌地方の季節のトピックス」最低気温のはなし/気象庁 予報用語「気温、湿度」/気象庁 はれるんランド「放射冷却って何?」