お彼岸の本 第7章
第6章では、暑さ寒さも彼岸までということわざと、彼岸のころの東京の気温を見ました。最後の章では、お彼岸に食べるおはぎとぼたもちの違いを、農林水産省の説明から整理します。
農林水産省の「春の和菓子ぼたもち」は、春のお彼岸にはぼたもち、秋のお彼岸にはおはぎを食べると書いています。では、この二つの呼び名はどう違うのでしょうか。
同じページによると、漢字で書けば「牡丹餅」と「お萩」です。そこから、春に咲く牡丹と秋に咲く萩に見立てた呼び名だという説があるそうです。
別の説として、こしあんで作るものがぼたもち、粒あんで作るものがおはぎだという見方も紹介されています。ページはこれらを諸説として並べていて、どれか一つに決めてはいません。
そのうえで、今では二つの呼び名を区別していないと説明しています。
同じページは、もともとは春夏秋冬それぞれに呼び名があったとも書いています。夏は「夜船」、冬は「北窓」と呼ばれたそうです。
この別名には言葉遊びがあると説明されています。ぼたもちは杵でつかずにつぶして作るので、餅つきの音がしません。そこから「つき知らず」という言葉が生まれます。
夏の別名では、「つき知らず」を「着き知らず」と読みかえます。夜は暗く船がいつ着いたか分からないことから、夜船になったといいます。
冬の別名では、「つき知らず」を「月知らず」と読みかえます。北の窓からは月が見えないことから、北窓になったそうです。ページは、季節で呼び名を変える昔の人の遊び心が暮らしの中に残っていると結んでいます。
お彼岸にぼたもちを食べる習慣が江戸時代に定着したといわれることは、第3章で紹介しました。同じページは、あんこの味の移り変わりにもふれています。
砂糖が貴重だった昔は、あんこに塩で味をつけていたそうです。砂糖で甘くしたあんこが広まったのは江戸時代の中ごろだと書かれています。
この本では、お彼岸の期間と中日から始めて、お彼岸の過ごし方と春分の日と秋分の日の趣旨をたどりました。後半では昼と夜の長さと彼岸のころの気温を見て、最後に呼び名の違いを整理しました。
おはぎとぼたもちの違いと同じように、お彼岸のならわしにも決まった一つの答えがあるとは限りません。公的な資料で確かめられることと、土地や家に伝わるならわしの両方があることを、この本ではできるだけ分けて書きました。
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