春分の日は昼と夜の長さが同じか

執筆者:

カテゴリ:

約3分で読めます

お彼岸の本 第5章

第4章では、春分の日と秋分の日が祝日法でどんな趣旨の日とされているかを確かめました。この章では、春分の日に昼と夜の長さが本当に同じになるのかを、国立天文台の説明で確かめます。

国立天文台のよくある質問には「春分の日・秋分の日には、昼と夜の長さは同じになるの?」という項目があります。答えは、そう考える人は多いものの実際には同じにならない、というものです。主な理由は二つあると説明されています。

その前に、昼と夜の境をどこに置くかを決めておく必要があります。国立天文台は、昼と夜がいつからいつまでかにはっきりした定義はないとしたうえで、ここでは多くの場合と同じく日の出と日の入りを境として考えています。

一つ目の理由は、日の出と日の入りの決め方にあります。どちらも、太陽の上の縁が地平線に重なる瞬間として定められています。

もし太陽の中心が地平線に重なる瞬間を日の出と日の入りにしていれば、昼と夜に太陽が動く道のりは同じになります。上の縁を基準にすると、朝は太陽の中心が地平線に届く前に日の出となり、夕方は中心が沈んだあとに日の入りとなります。その分だけ昼が長くなります。

二つ目の理由は、大気による光の屈折です。地平線の近くにある太陽は、大気の中を通る光が曲がるために、実際より少し高く浮かんで見えます。

浮き上がりの大きさは大気の状態によって変わり、地平線に近いほど大きくなります。国立天文台は、日の出と日の入りの計算では35分8秒角だけ浮き上がるとして計算していると説明しています。この「分」と「秒」は時間ではなく角度の単位です。この効果で、昼はさらに長くなります。

同じ項目には、実際の数字も載っています。2020年の春分の日だった3月20日の東京では、日の出が5時45分、日の入りが17時53分でした。ここから求めた昼の長さは12時間8分、夜の長さは11時間52分で、昼のほうが16分長くなります。

ここでいう東京は、国立天文台の前身の東京天文台がかつてあった港区麻布台の「日本経緯度原点」の位置を指すと注記されています。計算に使う標高は、その場所の実際の高さではなく0メートルとしているそうです。

一方、江戸時代の暦の計算では事情が違いました。暦Wikiの「雑節とは?」によると、江戸時代の日の出入りの計算では、太陽の見かけの大きさ(視半径)も大気による浮き上がり(大気差)も考えに入れていませんでした。そのため、春分と秋分で昼と夜が等しく、昼も夜も五十刻になっていたといいます。

江戸時代の暦で彼岸の日取りがどう変わってきたかは、第2章で取り上げました。

今の日の出と日の入りは、太陽の上の縁と大気の屈折を織り込んで計算されています。そのため、国立天文台の示す数字では、春分の日でも昼のほうが夜より長くなっています。次の章では、お彼岸のころの季節の移り変わりに目を向けます。

参考:国立天文台「春分の日・秋分の日には、昼と夜の長さは同じになるの?」/国立天文台暦計算室 暦Wiki「雑節とは?」

前の章:春分の日と秋分の日の由来

次の章:暑さ寒さも彼岸までの意味

ほかの暮らし