期限の数え方の本 第6章
『期限の数え方の本』の目次:期限の数え方の本
「消印有効」は、郵便物に押された日付が期限内であれば、期限までに出したものとして受け付ける、という指定だ。法令の条文では、この日付の印を「通信日付印」と呼んでいる。
この扱いの根拠は、場面によって二つに分かれる。税の書類については法律に定めがある。懸賞の応募や試験の出願のような場面では、募集要項や案内に書かれた定めによる。消印有効とするかどうか、どの郵便の種類を認めるかも、その定めを書いた側が決めている。
税の書類の規定は、国税通則法第22条にある。見出しは「郵送等に係る納税申告書等の提出時期」だ。
「納税申告書(当該申告書に添付すべき書類その他当該申告書の提出に関連して提出するものとされている書類を含む。)その他国税庁長官が定める書類が郵便又は信書便により提出された場合には、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日(その表示がないとき、又はその表示が明瞭でないときは、その郵便物又は信書便物について通常要する送付日数を基準とした場合にその日に相当するものと認められる日)にその提出がされたものとみなす。」
括弧の中は、通信日付印の表示がないときや、表示が明瞭でないときの扱いを定めている。
国税庁は「税務手続に関する書類の提出時期」で、この規定を原則と例外の関係で説明している。税務手続の書類の提出日は、原則として税務官庁に書類が到達した日で、これを到達主義と呼ぶ。そのうえで、納税申告書や、提出時期に具体的な制約がある書類が郵便や信書便で出されたときは、通信日付印の日が提出日とみなされる。こちらは発信主義と呼ばれる。発信主義の対象からは、後続の手続に影響を及ぼすおそれのある書類が除かれている。
対象が広がったのは平成18年度の税制改正だ。国税庁の「発信主義の適用範囲を定める告示の制定」によると、この改正で第22条に「国税庁長官が定める書類」が加わり、その書類は平成18年国税庁告示第7号で定められた。告示はその後、平成30年と令和2年に一部が改正されている。同じページは、改正前から発信主義の対象だった納税申告書の例として、所得税・法人税・消費税の確定申告書や、相続税・贈与税の申告書を挙げている。同じページは、国税に関する法律によらずに任意で出す書類は告示の対象にならない、とも説明している。
送り方にも条件がある。国税庁は、税務手続の書類は「信書」に当たるので、作成済みの書類は第一種郵便物か信書便物として送るよう案内している。郵便法の改正で、平成19年10月1日以降は小包郵便物が郵便物に当たらないことも注記されている。
第22条は、提出があった日を通信日付印の日とみなす規定で、期限そのものを動かす規定ではない。第22条が対象にするのは、郵便または信書便で出された書類だ。国税庁の説明では、それ以外の書類の提出日は、原則である到達主義のとおり税務官庁に到達した日になる。税以外の消印有効の扱いは、それぞれの募集要項や案内の文言によって決まり、法律で一律に決まっているわけではない。
参考:e-Gov法令検索「国税通則法」(第22条)/国税庁「税務手続に関する書類の提出時期」/国税庁「発信主義の適用範囲を定める告示の制定」
次の章:必着とは