期限の数え方の本 第5章
『期限の数え方の本』の目次:期限の数え方の本
「3営業日以内」のような書き方は、契約書や申込みの案内でよく見る。ただ、営業日という言葉を一つに定義した法律の条文は見当たらない。民法の第138条から第143条までの期間の計算の規定にも、この言葉は出てこない。e-Govで民法の現行の本文を見ると、全体を通して「営業日」という語は使われていない。
民法第138条は、期間の計算方法について「法律行為に別段の定めがある場合」を除いて民法の規定に従うとしている。営業日で期限を数える約束は、契約や約款の側で決めた数え方にあたる。どの日を営業日とし、当日を数えるかどうかも、その定めの中身による。第2章で見た初日不算入が、営業日の数え方にそのままかかるとは限らない。
法令で休日が決まっている例として、銀行がある。銀行法第15条は「休日及び営業時間」という見出しの条文で、第1項はこう定める。
「銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る。」
その政令が銀行法施行令で、第5条第1項は休日を三つ挙げている。
- 国民の祝日に関する法律に規定する休日
- 十二月三十一日から翌年の一月三日までの日
- 土曜日
年末年始の範囲は、役所の休日と同じではない。行政機関の休日に関する法律第1条が挙げるのは「十二月二十九日から翌年の一月三日までの日」で、銀行の休日は十二月三十一日からになっている。同じ年末でも、役所が閉まっていて銀行は開いている日が条文の上ではありうる。
「銀行営業日」という言い方は、これらの休日に当たらない日として読める。ただし銀行法の条文にも「営業日」という語は使われておらず、銀行営業日を定義した規定があるわけではない。
施行令第5条第2項には、営業所ごとの休日の例外もある。営業所の所在地で一般の休日に当たる日で金融庁長官が告示した日、金融庁長官が承認した日、銀行が金融庁長官に届け出た日は、その営業所の休日にできる。第3項は、承認や届出による休日を店頭に掲示し、インターネットでも公衆の閲覧に供することを求めている。同じ銀行でも、営業所によって休日が違うことがありうる仕組みだ。
銀行法第15条第2項は、営業時間を「金融取引の状況等を勘案して内閣府令で定める」としている。営業時間や振込の締め時刻は、この章では扱わない。
法令で休日が決まっていない会社では、営業日はその会社の定めによる。土曜日や祝日を営業日に含めるかどうかも会社や取引によって違い、同じ「3営業日」でも指す日が変わることがある。営業日で定めた期限の終わりの日は、民法の条文だけでは決まらない。数え方は、その期限を定めた契約や約款などの定めによることになる。
銀行の窓口が土曜日に閉まるようになった経緯は、別の本の一章で扱っている(一九八九年二月、銀行の窓口が土曜に閉まった)。
参考:e-Gov法令検索「銀行法」(第15条)/e-Gov法令検索「銀行法施行令」(第5条)/e-Gov法令検索「民法」(第138条〜第143条)/e-Gov法令検索「行政機関の休日に関する法律」(第1条)
次の章:消印有効とは