引越しの本 第3章
前の章では、役所の窓口で住民票を動かす手続きを見てきました。転出届と転入届が、どこに住んでいるかを記録し直す作業だとすれば、この章で扱うのは、新しい住まいで明かりがつき、湯が沸き、蛇口から水が出るようにするための段取りです。電気とガスと水道は、役所に届けを出しても自動では切り替わりません。市民窓口で転入や転出を届け出るだけでは水道の手続きにならない、と明記している自治体もあります。それぞれの契約先へ、自分で連絡を入れることになります。
伝える中身は、三つともほぼ同じです。旧居でいつ使用をやめるか、新居でいつ使い始めるか。この二つの日付が決まっていれば、話はずっと早く進みます。やめる側の連絡では、検針票や請求書にあるお客さま番号を手元に置いておくと手続きがなめらかです。
いちばん早く動いておきたいのはガスです。都市ガスの開栓では、係員が訪ねてきてメーターの栓を開け、室内でコンロや給湯器に火がつくかを確かめ、安全に使うための説明をします。そのため本人か代理の人の立ち会いが求められるのが一般的で、作業は二十分から四十分ほどと案内されています。訪問は日と時間帯を予約する形なので、引越しの日が決まったら早めに申し込み、荷物の搬入と重ならない時間を選んでおくと当日があわてずに済みます。旧居の停止は立ち会いのいらないことが多いものの、オートロックの建物などで係員がメーターまで入れない場合は立ち会いを頼まれます。
電気は、契約している会社に使用開始を申し込んでおけば、立ち会いなしで使い始められる場合が多いようです。新居でブレーカーを上げれば明かりがつく住まいもあれば、通信機能のあるメーターで離れた場所から送電される住まいもあります。ただ、契約の内容や建物の設備によっては立ち会いを求められることがあり、その場合は契約先から知らせが来ます。気をつけたいのは、入居した日に電気がついたからといって、手続きが済んでいるとは限らないことです。申し込みをしないままでは、契約のない状態で使っていることになってしまいます。
水道は、住まいのある市区町村の水道局や上下水道の窓口が受け付けます。旧居の窓口には使用中止を、新居の窓口には使用開始を届け出ます。同じ市の中での引越しならまとめて届けられるところもありますが、市をまたぐなら連絡先は二つです。届出の期限は自治体ごとに違い、三、四日前まで、三営業日前まで、五日前までと、案内はさまざまです。土日や祝日には開栓の作業をしない窓口もあるので、週末に引越すなら平日のうちに連絡しておくと落ち着いていられます。中止の届けを忘れると、水を使っていなくても基本料金がかかり続ける場合があります。
自治体によっては、民間の引越しサイトを通じて電気やガスや水道の手続きをまとめて申し込める仕組みを案内しています。どの方法を選ぶにしても、決めることは止める日と始める日、それにガスの立ち会いの時間くらいです。水道の期限が数日前に設けられていることを思えば、引越しの日取りが決まったところで三つの連絡を一度に片づけてしまうのが、いちばん気が楽かもしれません。