『オフィスの明るさは三百ルクス以上と決まっている』の目次:オフィスの明るさは三百ルクス以上と決まっている
次に条文に出てくる人数は50だ。事務所衛生基準規則の第21条は、見出しが「休養室等」になっている。
「事業者は、常時五十人以上又は常時女性三十人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。」
「が床」は臥床と書き、床について横になることをいう。条件は二つあり、どちらか一つに当たれば足りる。全体で40人の事務所でも、そのうち女性が常時30人いれば設置が必要になる。トイレの章と違い、ここで数えるのは「同時に就業する」人数ではなく「常時」使用する人数だ。
常時50人以上という線は、この本の外でも見かける。衛生管理者を選ばなければならないのも、常時50人以上の労働者を使う事業場からだ。49人までは選任の義務がなく、50人目から義務になる。衛生管理者の選任と休養室は、同じ人数で義務が始まる。
周りの条文と比べると、第21条の書き方がはっきりする。第19条の休憩の設備は「設けるように努めなければならない」で、人数の条件はない。第20条の睡眠や仮眠の場所は、夜間に睡眠を与える必要があるときなどに限り、男女別に設ける。休養室は人数で線を引き、努力ではなく義務として書かれている。
2021年12月の改正で、照度やトイレの条文は書き換えられたが、第21条の文言はそのまま残った。同じ日に出た施行通達は、この条文を「運用見直し」の項で扱い、何のための部屋かを書いている。休養室又は休養所は「病弱者、生理日の女性等に使用させることを趣旨として設けられるもの」とある。続けて、長時間の休養などが必要な人は「速やかに医療機関に搬送する又は帰宅させることが基本」であり、そのため「専用設備として設けなくとも、随時利用が可能となる機能を確保することで足りる」としている。
専用の部屋を一つ用意しなくても、いつでも横になれる場所として使えればよいということだ。ただし通達は同じ箇所で、休養室では「労働者がが床することが想定されており」と念を押す。そのうえでプライバシーを守るために、入口や通路から直視されないよう目隠しを設けること、関係者以外の出入りを制限すること、緊急時に安全に対応できることを例に挙げ、設置場所の状況などに応じた配慮が重要だと書いている。厚生労働省のリーフレットはこの項に「随時利用できる環境であること」という見出しをつけ、空いているスペースを休養室にするなら直ちに利用できる体制を整えておくよう呼びかけている。
事務所以外の作業場には労働安全衛生規則の第618条が同じ文言で同じことを定めていて、通達もこの条を第21条と同様に見直すとしている。50と30という人数は、事務所でも工場でも変わらない。
ここまでの章で出てきた数字は、ルクスや度、立方メートル、人数だった。条文にはもう一種類、六か月や二か月といった回数の数字が残っている。
参考:e-Gov法令検索「事務所衛生基準規則」/厚生労働省「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和3年12月1日 基発1201第1号)/厚生労働省「職場における労働衛生基準が変わりました」/e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
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