『オフィスの明るさは三百ルクス以上と決まっている』の目次:オフィスの明るさは三百ルクス以上と決まっている
百万分の一の単位で量を決めている、と前の章の終わりに書いた。事務所衛生基準規則で空気に関わる数字を拾っていくと、まず出てくるのは量の単位ではなく体積だ。第2条の見出しは「気積」で、室の空気の容積のことを指す。
事業者は、労働者を常時就業させる室の気積を、設備の占める容積と床面から四メートルを超える高さにある空間を除いて、労働者一人について十立方メートル以上にしなければならない。数えないものが二つ先に決められている。棚や機械が場所をとっていればその分は引かれる。天井がどれほど高くても、四メートルより上の空気は数に入らない。
十立方メートルを床の広さに直してみると、感覚がつかみやすい。天井の高さが二・五メートルの部屋なら、一人あたり四平方メートルの床で十立方メートルになる。設備の分を引く前の、単純な割り算だ。
第3条は窓の話から始まる。窓その他の開口部のうち、直接外気に向かって開け放せる部分の面積を、常に床面積の二十分の一以上にしなければならない。床が百平方メートルなら、開けられる部分が五平方メートル要る計算になる。ただし、換気が十分に行われる性能をもつ設備を設けたときはこの限りでない、とただし書きがつく。窓の広さで換気を確保するか、設備で確保するか、二つの道が条文に書かれている。
同じ第3条の第2項で、いよいよ百万分の一の単位が出てくる。室の一酸化炭素と二酸化炭素の含有率は、それぞれ次の数字以下にしなければならない。
- 一酸化炭素 百万分の五十以下
- 二酸化炭素 百万分の五千以下
含有率は、一気圧、温度二十五度とした場合の空気に占めるそのガスの容積の割合だと、括弧書きで定義されている。百万分の五千は、ppmで書けば5000ppmだ。
ところが二つ条を進めると、同じ二つのガスに別の数字がついている。第5条第1項は、空気調和設備か機械換気設備を設けている場合に、室へ送る空気が満たすべき値を決める。
- 一酸化炭素 百万分の十以下(外気が汚れていて難しい場合は百万分の二十以下)
- 二酸化炭素 百万分の千以下
二酸化炭素でいえば、部屋の空気は五千まで、設備が送り込む空気は千まで。五倍の開きがある。一酸化炭素は五十と十で、こちらも五倍だ。部屋の中の空気と、設備から吹き出してくる空気とで、条文は別々の線を引いている。第5条の同じ項には、浮遊粉じんは一立方メートルあたり〇・一五ミリグラム以下、ホルムアルデヒドは〇・一ミリグラム以下という数字も並ぶ。
こうした数字は事務所だけのものではない。労働安全衛生規則にも、屋内作業場について一人十立方メートル以上の気積と床面積の二十分の一以上の開口部を求める条文がある。四メートルを超える空間を除く、という書き方も同じだ。
事務所衛生基準規則の第6条は、発熱量が著しく少ないものを除いた燃焼器具を使う室や箇所に排気筒や換気扇などを設けることを求め、その箇所にも第3条第2項の数字を当てはめている。空気の次に条文が数えているのは、トイレの数だ。
参考:e-Gov法令検索「事務所衛生基準規則」/e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」