過失割合は警察が決めない

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過失割合は警察が決めない 第1章

事故のあと「警察が何対何を決めてくれる」という語感がある。耳の地図は、すぐ割合の数字を警察に預ける。制度の地図は、そうではない。現場に来た警察官が、民事の過失割合を裁定するわけではない。何対何という数字を、警察の判断として受け取る前提がずれる。割合は、警察が決める段ではない。警察が現場に立つことと、過失割合が確定することは、同じ時計では読めない。聞こえた期待と、制度が置く決め方は、層そのものが違う。数字の行き先を、最初から警察の手元に置かない。現場の出来事と、民事の割合は、別の物差しだ。期待の置き場を、先にひっくり返す。警察の到着を、割合の確定の合図にしない。損害賠償の分け方は、現場の確認とは別の話だ。

栃木県の案内は、過失割合は当事者同士が決めるものだ、と置く。一般的には、当事者が保険会社から過失割合の提示を受け、納得したものとなる。提示内容に納得できない場合は、裁判によって決めることになる、という枠だ。入口は、当事者同士と、保険会社の提示と、納得できないときの裁判、という三段だ。警察が何対何を言い渡す段は、ここにはない。決め方の入口だけを先に持つ。交渉の手順や数字の型は、この入口の話ではない。納得の可否と、裁判への移りは、案内が示す枠のなかにある。警察の役割は事実の側にある。現場の確認、記録、道路交通法上の報告の受け手、という位置だ。細部の職務の並びは、あとの地図として残す。先に置くのは、割合の決め方と、警察の立ち位置が別の層だ、という一段だけだ。案内の入口を、警察の裁定に読み替えない。提示を受ける段と、現場の記録の段は、並んでも交わらない。

道路交通法第72条は、停止と救護と危険防止に加え、警察官への日時・場所・死傷・損壊などの報告義務の骨格を置く。報告されるのは事実の側であり、民事の割合の裁定ではない。事実を伝える義務と、過失割合を決める段は、同じ手続ではない。交通事故証明書に過失割合は書かれない、という点もある。証明書は、事故の事実を確認したことの証明として置かれる。証明書の紙と、割合の数字は、同じ欄には乗らない。届出の必要性は、割合の話とは別の話だ。届出と証明書のつながりも、割合の決め方とは重ならない。割合の決め手と、届出の要否を、一語に畳まない。役割が違うから届出が不要だ、という読み方にはならない。役割は分かれても、届出の線は別にある。条文の骨格は、救護と危険防止と報告にある。割合の裁定は、その骨格の外だ。地図の入口は、ここまでだ。過失割合は警察が決めない。

参考:栃木県「交通事故にあったら…」/e-Gov法令検索「道路交通法」/自動車安全運転センター「交通事故証明書」

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