過失割合は警察が決めない 第2章
過失割合は警察が決めない、という入口は先にある。現場に立つ警察の側は、救護と危険防止と報告の受け取りだ。現場の確認と記録も、その並びにある。到着を割合の確定と読む語感は強い。制度は人の安全と道路の危険の除去と事実の受け取りを先に置く。栃木県の案内は「事故にあったら110番などで警察に届け出」と置き、警察官などの指示に従う、という一文が続く。届出がないと交通事故証明書が発行されない、という予告もある。届け出の線は割合の話と重ならないが、届け出の要否は消えない。警察が来ることは、救護と記録と報告の受け取りの始まりであり、何対何をその場で確定する合図ではない。耳の期待と現場の職務は入口が違う。割合の数字を警察の判断として受け取る前提は、現場では成り立たない。現場の警察は事実の側に立ち、民事の分け前は別の入口へ残る。職務の並びは事実に向かい、割合の裁定には向かない。
道路交通法第72条の骨格は、措置と報告に分かれる。交通事故があったとき運転者などは直ちに停止し、負傷者の救護と道路の危険防止などの措置をとる。警察官が現場にいるときはその警察官へ報告し、いないときは直ちに最寄りの警察署などの警察官へ報告する。報告に並ぶのは発生日時・場所・死傷者の数と負傷の程度・損壊物とその程度・積載物・講じた措置など、事実の列挙だ。並ぶのは事実であり、民事の過失割合の裁定ではない。停止と救護と危険防止が先で、報告はそのあとに続く。条文が求めるのは事実の伝達であり、何対何を現場で言い渡す手続は72条の骨格には載らない。報告の紙面と損害賠償の分け前は、同じ欄には乗らない。事実を伝える義務と分け前を決める段は手続が違う。報告項目を割合の結論に読み替えない。72条が開くのは事実の骨格であり、民事の分け前の答えではない。
現場は刑事や交通違反の入口になりうるが、損害賠償の分け前はその場では確定しない。入口になりうることと分け前を確定することは、別の話だ。実況見分調書などの名称は、後から民事側が参照しうる資料になりうる、という位置までで足りる。取得の手順や使い方の講座にはしない。名称の位置だけを持ち、手続の細部には降りない。警察の手元にあるのは事実の側だ。割合の数字は、当事者同士と保険会社の提示と、納得できないときの裁判の側へ残る。現場の記録が残っても、分け前の数字は自動では埋まらない。確認と記録は事実の側に留まり、民事の分け前はその外側で動く。警察の到着を割合の確定の合図にしない。事実の受け取りが先で、民事の分け前は別の手続で動く。刑事の入口と民事の分け前は、役割が違う。警察が現場でやるのは事実の側だ。
参考:栃木県「交通事故にあったら…」/e-Gov法令検索「道路交通法」