お彼岸の本 第6章
第5章では、春分の日でも昼のほうが夜より少し長いことを国立天文台の説明で確かめました。それでも春分と秋分は、一年のなかで昼と夜の長さが近づく二つの時期です。この章では、暑さ寒さも彼岸までということわざと、彼岸のころの気温を見ていきます。
このことわざは、一般には、夏の暑さも冬の寒さも彼岸のころには和らいでくるという季節の目安として受け取られています。ここでは、ことわざが当たるかどうかを決めるのではなく、公的な数字から言えることを確かめます。
言葉の面では、気象庁の予報用語に「残暑」の説明があります。予報用語では、残暑は立秋(8月8日頃)から秋分(9月23日頃)までの間の暑さとされています。天気予報で使う言葉としては、秋分が残暑と呼ぶ期間の終わりにあたるわけです。
では、気温はどうなっているのでしょうか。気象庁は、1991年から2020年までの30年間の観測をもとにした平年値を公表しています。ここでは東京の日ごとの平年値を使います。
春分のころにあたる3月21日の東京の日平均気温の平年値は10.1℃です。秋分のころにあたる9月23日は21.7℃です。
二つの日の差は11.6℃です。昼と夜の長さが近い二つの日でも、東京の平年値では日平均気温にこれだけの開きがあります。
日最高気温の平年値を見ると、9月23日は25.8℃で、まだ25℃を上回っています。3月21日は14.9℃です。日最低気温の平年値は、9月23日が18.7℃、3月21日が5.6℃です。
次に、月の初めと比べてみます。東京の9月1日の日平均気温の平年値は25.7℃で、9月23日までの22日間に4.0℃下がっています。3月1日は7.4℃で、3月21日までの20日間に2.7℃上がっています。
東京の平年値では、月の初めから彼岸のころにかけて、秋は気温が下がり、春は気温が上がっています。ことわざが言い表す季節の移り変わりと、向きは重なっています。
ただし、彼岸のころに気温が秋と春で同じになるわけではありません。秋の彼岸のころの東京は、日最高気温の平年値がまだ25℃を超えています。
平年値は30年分をならした値なので、その年ごとの気温とは一致しません。また、ここで見た数字は東京に限ったものです。彼岸のころの気温は地域によって異なるので、ほかの地点は気象庁の平年値でそれぞれの数字を見ることになります。
次の章では、お彼岸にまつわる食べ物を取り上げます。
参考:気象庁「過去の気象データ検索 平年値(日ごとの値)東京 3月」/気象庁「過去の気象データ検索 平年値(日ごとの値)東京 9月」/気象庁 予報用語「気温、湿度」/国立天文台「春分の日・秋分の日には、昼と夜の長さは同じになるの?」
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