お彼岸の本 第4章
第3章では、お彼岸に何をするのかを見て、春分の日が祝日法で「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日と定められている点にも触れました。この章では、春分の日と秋分の日がどんな祝日なのかを、法律と公的な資料で確かめます。
二つの祝日を定めているのは「国民の祝日に関する法律」、いわゆる祝日法です。e-Govで読める条文の第1条は、国民みんなで祝い、感謝し、記念する日を「国民の祝日」と呼ぶと定めています。
続く第2条は、祝日ごとに名前と日付と趣旨を一覧にしています。この一覧によると、春分の日の趣旨は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」です。
秋分の日の趣旨は「祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ」と書かれています。条文の表記は「なくなつた」で、内閣府の「各『国民の祝日』について」では「なくなった」と表記されています。
第2条に並ぶ祝日は、元日から勤労感謝の日までの16です。趣旨を読み比べると、祖先や亡くなった人々にふれているのは秋分の日だけで、春分の日の趣旨には祖先という言葉は出てきません。
第3章で見たように、農林水産省は春のお彼岸の中日にも先祖を供養する習慣を紹介しています。それでも、法律の趣旨として先祖をしのぶことが書かれているのは秋分の日のほうです。
内閣府によると、春分の日と秋分の日は、どちらも昭和23年の祝日法の制定当初に定められた9日の祝日に含まれています。
内閣府が引く制定時の記録では、春分の日は「自然のあらゆる生命が若々しく盛り上がる時」であることなどから、異議なく採用されたとされています。秋分の日は、季節の上での一つの区切りになることなどから、春分の日に対応する日として採用されたと説明されています。
日付の書き方にも特徴があります。第2条では多くの祝日に「一月一日」のような日付や「一月の第二月曜日」のような決め方が書かれていますが、春分の日と秋分の日の欄には「春分日」「秋分日」とあるだけです。
内閣府は、これを天文学上の言葉だとし、法律に具体的な月日は書かれていないと説明しています。第1章で見たように、実際の日付は国立天文台が毎年2月に出す暦要項で翌年の分が決まります。
二つの日は、宮中の祭祀の日でもあります。宮内庁の「主要祭儀一覧」によると、春分の日には春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)、秋分の日には秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)が行われます。どちらも皇霊殿で行われるご先祖祭と説明されています。
同じ一覧には、春分の日と秋分の日に神殿で春季神殿祭と秋季神殿祭が行われることも載っています。こちらは神恩感謝の祭典とされています。
祝日としての春分の日と秋分の日は、天文学の春分日と秋分日をそのまま当てた日です。法律の趣旨は、春分の日が自然と生き物に、秋分の日が祖先と亡くなった人々に向けられています。次の章では、この二つの日の昼と夜について、国立天文台の説明をもとに見ていきます。
参考:e-Gov法令検索「国民の祝日に関する法律」/内閣府「各『国民の祝日』について」/宮内庁「主要祭儀一覧」
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