のしと表書きの本 第3章
内のしと外のしの違いは、のし紙と包装紙を重ねる順番にあります。内のしは、品物にのし紙を掛けてから包装紙で包む方法です。外のしは、品物を包装紙で包んだあと、その上にのし紙を掛ける方法です。内のしでは包装紙を外すまで表書きが隠れ、外のしでは受け取った時点で表書きが目に入ります。
使い分けの手がかりとしてよく挙げられるのが、地域による傾向です。関西では内のしが通常とされ、関東では外のしが多いといわれます。ただし、これは全国共通の決まりではなく、あくまで傾向として語られるものです。贈答のしきたりには諸説があり、地域や家ごとのならわしで扱いが異なることもあります。
こうした差が生まれた理由について、贈答品の担当者向けに講師を務める人は次のように説明しています。関西で内のしが多いのは、のし紙が汚れないことを大切にしているからです。一方の関東は、外から見てわかりやすいことを重んじて外のしを選ぶとされます。
背景には、昔からの伝統を受け継ぐ関西と、全国から人が集まるためにわかりやすさを重んじるようになった関東という違いがあるのではないか、という見方も示されています。これは理由を考えるうえでの一つの解釈と捉えるのが妥当です。
紙の呼び名と重ね方は、第1章で見たとおりです。熨斗まで印刷された紙はのし紙、水引だけで熨斗のない紙は掛紙と呼ばれます。紙を裏で重ねるときは、お祝いや一般の贈り物なら左を内側に、弔事なら左を外側にします。
香典返しなど弔事にかかわる品には、熨斗のない掛紙を使うのが一般的です。水引は黒白の結び切りが基本で、関西から西日本にかけては黄白を使うこともあります。表書きにも東西の違いがあり、香典返しでは関西で「満中陰志」が一般的、関東では「志」の一文字が多いとされます。包む順番だけでなく、水引の色や表書きにも地域の傾向が表れるわけです。
内のしと外のしの違いは、のし紙をきれいに保つことを優先するか、外からのわかりやすさを優先するかという考え方の差として説明されています。どちらが正しいというより、贈る先の地域のならわしに合わせて選ぶものと考えるとよいでしょう。
次の章では、「のしの表書き一覧と書き方」として、のし紙や掛紙に書く表書きの種類と書き方を見ていきます。
参考:高島屋「進物の基礎知識 掛紙とのし紙」/郵便局のネットショップ「香典返しの掛け紙(のし紙)」/日本経済新聞「地域で異なる『のし紙』文化(もっと関西)」
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