のしと表書きの本 第2章
水引の結び方には、ほどけて結び直せる蝶結びと、ほどけにくい結び切りがあります。蝶結びは何度あってもよい祝いに、結び切りは繰り返したくない事柄に使い分けます。水引は慶事にも弔事にも使われ、色や本数、結び方の組み合わせで贈る場面を表します。結び方そのものに意味があるのが、水引の特徴です。
水引という呼び名は、室町時代の風習から生まれたとされます。昔、中国から届いた贈答品に紅白の麻紐が結ばれていたのが、使われ始めたきっかけだといわれます。和紙をこより状によったあと、よりがほどけないよう水糊を引いて固めたことから「水引」と呼ばれるようになりました。本数は五本を束ねて一本と数えるのが基本で、三本や七本のものもあります。結納や結婚では、倍の十本にした夫婦水引(めおとみずひき)を使います。夫婦は二人で一組であり、両家が合わさるという意味合いを込めたものです。
色も場面によって変わります。金銀は婚礼や長寿の祝い、紅白は一般の慶事や婚礼、紅一色は還暦に使います。弔事向けには黒白、黄白、双銀などがあります。結婚の祝儀袋は紅白でも金銀でもかまいませんが、まとまった額を包むなら金銀のほうがよいとされます。
結ぶ向きは、どの場合も濃い色が向かって右に来るようにします。紅白なら紅が右で白が左、金銀なら金が右で銀が左です。
代表的な結び方は三通りです。蝶の羽のような形になる蝶結び、輪をつくらない結び切り(引き結び)、そしてどちらの場面にも使えるあわび結び(あわじ結び)です。水引の端を輪にした輪結びは、お祝いに使われます。なお、地方のならわしによって結び方が違うこともあります。
蝶結びは片方を引けばほどけ、また簡単に結び直せることから、何度繰り返してもよいお祝いに使います。結婚祝いを除く、ほとんどの慶事と一般の贈答がこれに当たります。ただし結婚記念日のお祝いなどは、結婚にまつわるものでも蝶結びで贈ります。
結び切りは片方を引いてもほどけず、簡単には結び直せません。そのため、同じことが二度と起きないようにという願いが込められています。婚礼のお祝いと弔事では、例外なく結び切りを選びます(結婚記念日などは除きます)。病気見舞いも結び切りです。全日本冠婚葬祭互助協会も、結婚の祝儀袋ではすぐにほどける蝶結びを避けるよう案内しています。
次の章では、のし紙を包装の内側に掛けるか外側に掛けるかという、内のしと外のしの違いを見ていきます。
参考:高島屋「進物の基礎知識 水引」/全日本冠婚葬祭互助協会「結婚式のマナー」
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