町内会の本 第5章
町内会の班長は、多くの地域で輪番制になっています。数年に一度、自分の番が回ってくる形です。初めて引き受けるときは、何をすればよいのか見当がつかず戸惑うかもしれません。ここでは一般的な班長の仕事と、引き継ぎのときの挨拶を整理します。
班長の仕事の中心は、班の世帯と町内会役員とのあいだをつなぐ連絡役です。役員会や班長会で決まったことを班に伝え、班の声を役員に届けます。毎月の会合に出る地域もあれば、年に数回の集まりだけという地域もあります。
日常的な仕事としてよく挙がるのが回覧板です。役員から届いた回覧板を班の最初の家に回し、一周して戻ってきたら確認します。回し方そのものは第4章で触れたとおりです。
会費の集金を班長が手伝う地域もあります。集金の進め方は第3章を参考にしてください。最近は口座振替や役員による一括集金に切り替えて、班長の負担を減らしている町内会も見られます。
このほか、お祭りや清掃活動などの行事で班の取りまとめを頼まれることがあります。参加人数を聞いて役員に伝える、配布物を各家に届けるといった役回りです。防災訓練の案内や、災害時の安否確認の窓口を班長が担う地域もあります。どこまでが班長の仕事かは町内会ごとに大きく違うため、前の班長や役員に確認しておくと安心です。
班長になると、近所の方から相談を受ける場面も出てきます。ごみ置き場の使い方や街灯の切れた場所など、内容はさまざまです。その場で答えられないことは無理に判断せず、役員に伝えて返事を待つ形で構いません。班長は何でも決める立場ではなく、話をつなぐ立場だと考えると気持ちが楽になります。
任期中は、小さなノートを一冊用意しておくと役に立ちます。いつ何が届いたか、どの行事で何を頼まれたかを書き留めておくだけで十分です。翌年の同じ時期に何が起きるかの見通しになり、そのまま次の班長への申し送りにも使えます。前の班長からこうしたメモを受け取れた人は、その心強さを覚えているかもしれません。
引き継ぎの時期は、年度替わりにあたる4月前後が多いようです。総会の前後に新旧の班長が交代する形がよく見られます。ただし年の初めに交代する地域や、任期が2年の地域もあり、決まった時期はありません。自分の地域の慣習を前の班長にたずねておくと確実です。
引き継ぐときは、回覧板の順番表や班の世帯一覧、役員の連絡先などをまとめて渡すとスムーズです。年間の行事予定や任期中のメモも添えておくと喜ばれます。会員名簿を扱う場合は少し注意が要ります。個人情報保護委員会の資料では、会員名簿を会員に配布するにはあらかじめ本人の同意が必要とされています。
挨拶は、短く気持ちが伝われば十分です。次の二つは文面の一例です。
【例文1】次の班長へ
「このたび班長を引き継いでいただき、ありがとうございます。回覧板の順番表と行事予定、役員の連絡先をこの封筒にまとめました。分からないことがあれば、いつでも声をかけてください。一年間どうぞよろしくお願いします。」
【例文2】班の皆さんへ(回覧で回す用)
「班の皆さまへ。一年間、回覧板や行事へのご協力をありがとうございました。○月から班長は○号の○○さんに代わります。引き続きよろしくお願いいたします。○号 ○○」
班長の一年は、近所の顔と名前を覚える一年でもあります。回覧板を届けたり行事の声をかけたりするうちに、あいさつを交わす相手が自然と増えていきます。完璧にこなそうと気負わず、困ったときは周りに頼りながら、次の方へ穏やかにバトンを渡していきましょう。
参考:個人情報保護委員会「自治会・同窓会等向け 会員名簿を作るときの注意事項」(2023年12月版)
前の章:回覧板の回し方と不在のときの対応