第2章でみたように、年次有給休暇の付与日数は法律の表で決まっています。ところが取得率を産業別に並べると、数字の開きは大きくなります。
厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」の第5表が、その並びを示しています。制度の枠組みは同じでも、実態の取得率は産業ごとに分かれます。この章では、その両端と中ほどの数字を確かめます。
調査の全体では、労働者1人平均の付与日数は18.1日、取得日数は12.1日、取得率は66.9パーセントです。対象は常用労働者30人以上の民営企業で、付与日数には繰越日数は含まれません。第1章で確認した平均と同じ枠組みです。
取得率が最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で75.2パーセントです。付与日数は19.5日、取得日数は14.7日でした。
反対に最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の50.7パーセントです。付与日数は15.9日、取得日数は8.0日でした。最高と最低が、同じ第5表の両端に並んでいます。
75.2パーセントから50.7パーセントを引くと、差はちょうど24.5ポイントになります。章題の二十五ポイントは、この差を丸めた呼び方です。
法律上の付与の決まりは業種を問いません。それでも、取得率の数字には業種ごとの幅があります。差の理由は、この表からはわかりません。なぜ高いか、なぜ低いかを、ここから読み取ることはできません。
付与日数だけをみても差があります。全体平均の18.1日に対し、宿泊業,飲食サービス業は15.9日と短くなっています。取得日数の8.0日も、全体平均の12.1日を下回ります。
ほかの産業も並べてみます。製造業は付与18.8日、取得13.7日、取得率72.8パーセントです。金融業,保険業は付与19.6日、取得14.3日、取得率は同じく72.8パーセントでした。
卸売業,小売業は付与17.5日、取得10.5日、取得率59.9パーセントです。全体の66.9パーセントを挟んで、上にも下にも産業が散らばっています。
有給の話のそばには、会社の年間休日という別の数字もあります。年間休日と年次有給休暇は、同じ休みでも統計上は別の欄に分けて置かれます。次の章では、その二つの数字の区別を見ていきます。
参考:厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査の概況」
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