住民税の本 第2章
住民税と所得税の違いを一言で言うと、税の種類そのものが地方税と国税に分かれる点にあります。住民税は市区町村と都道府県が課す地方税で、所得税は国が課す国税です。賦課の主体が違うため、税率の型や課税の時期感も、そろいません。同じ所得にかかっても、別の税として別のルールで並行して動きます。根拠も窓口も別で、片方の精算がもう片方を自動では片づけるわけではありません。
公的サービスは国と地方で分担し、その費用は主に税金でまかなわれます。教育・福祉・消防・救急・ゴミ処理など身近な行政サービスの多くは、市区町村や都道府県が担います。地方税はこうしたサービスをまかなう地域の会費にあたり、住民税はそのなかでも身近な税の一つです。
住民税は市町村民税と道府県民税から成り、個人住民税と法人住民税があります。個人住民税は、その地域に住む個人が地域社会の費用を広く分かち合う、会費的な枠組みです。国税の所得税と同じ所得にかかっても、役割の置き場が違います。
個人住民税の所得割は比例税率でおおむね所得の10%です。内訳は道府県4%・市町村6%で、指定都市は道府県2%・市民税8%になります。所得税は所得に応じて段階的に高くなる超過累進であり、所得が増えるほど高い税率がかかる点で比例税率とは型が違います。同じ所得額でも、比例の住民税と累進の所得税では負担の出方が分かれます。
所得割は前年1月1日から12月31日までの所得で算定されます。個人住民税は前年所得を基に翌年度分として課税されるため、所得税とのあいだに時期のずれが必ず生まれます。所得税は源泉徴収や確定申告で、その年の所得をその年のうちに精算する流れです。給与から毎月引かれる税でも、何を精算しているのかが住民税と所得税では違います。収入があった年とその税を納める年がずれるのが、両者を見分ける大きな違いです。
年末調整で扱うのは所得税(国税)の精算です。住民税は地方税であり、賦課・徴収の主体も時期も税率の型も所得税とは異なります。年末調整の精算と、住民税の賦課の仕組みは別物です。所得税の所得控除より個人住民税の控除額が小さいものが多いのは、地域社会の会費的な性格が背景にあります。給与明細に並ぶ天引きでも、所得税分と住民税分は精算の対象も時期感も違います。
住民税の負担が動き出すのは、所得税の精算とは別のタイミングです。徴収や納付が始まる時期を追うと、その地図が見えてきます。前年所得ベースの課税が、生活のどこで現れるかの話へと続きます。
参考:財務省「住民税について教えてください」/総務省「個人住民税」/総務省「個人住民税」(制度概要)/国税庁「年末調整のしかた」/e-Gov「地方税法」
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