了解しましたと承知しましたの違い

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敬語の本 第2章

第1章では、敬語を五種類に分けて見る枠組みを押さえました。ここでは、仕事の返事でよく並ぶ「了解しました」と「承知しました」を取り上げます。「目上の相手に『了解しました』は失礼だから止めるように」と上司に言われたという相談が、国立国語研究所のことば研究館に寄せられています。

解説を書いた山田貞雄氏は、まず形の面を見ています。「しました」と敬体にしている以上、最低限の丁寧さは保たれているという見方です。「了解いたしました」とすれば謙譲が加わり、敬意の度合いはさらに上がります。

一方で、「了解」という語そのものには、待遇を表す要素は含まれていないとも説明されています。「了」にも「解」にも「よくわかる」という意味があり、似た意味の字を重ねた漢語だという整理です。

では、失礼だから使ってはいけないとまで言えるのか。解説はそこまで断定していません。現代語の使い方を重視する国語辞典の中には、目上の依頼などを受ける意味で使うのは敬意が足りないという注を付けたものもあると紹介しています。そのうえで、なぜぶっきらぼうに感じられるのかは理屈ではっきり説明できず、無線や業務の短い返答「了解」の使い方が影響しているのかもしれない、という程度にとどめています。

解説の結論は、その場にもっとふさわしい言葉があればそちらを使えばよい、というものです。言い換えの例として「わかりました」「かしこまりました」「承りました」が挙がっています。使うのをやめる理由も、より合う言葉がほかにあるというだけで十分だとしています。

「承知しました」については、この解説の中では触れられていません。丁寧さを足したいときは、第1章で見た謙譲語Ⅱの「いたす」を使い、「承知いたしました」とする形もあります。

言葉の選び方について、第22期国語審議会の答申「現代社会における敬意表現」は、人間関係や場面、伝える内容などへの配慮に基づいて表現を選ぶと整理しています。答申には、部長から仕事を頼まれた部員が「はい、分かりました」と丁寧に答える例も挙げられています。

同じ返事でも、相手との関係や改まりの程度によって、ふさわしい言い方は変わります。「了解しました」を一律に禁じるより、相手と場面に合う言葉を手持ちの中から選ぶ、という考え方が出典の立場に近いといえます。

次の章では、ご苦労様とお疲れ様の違いを取り上げます。

参考:国立国語研究所 ことば研究館「『了解しました。』は敬意表現にならないか」/文化庁 第22期国語審議会答申「現代社会における敬意表現」

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