古い建物は、子どものための図書館になった

執筆者:

カテゴリ:

約3分で読めます

帝国図書館は、計画の四分の一で開館した 第5章

『帝国図書館は、計画の四分の一で開館した』の目次:帝国図書館は、計画の四分の一で開館した

支部上野図書館の建物は、将来東京都に移管することが法律で決められていた。その予定が変わったのは1994年(平成6年)だ。

国際子ども図書館の「国際子ども図書館の歴史」のページによると、東京都における公共図書館整備の進展などの理由から、都に移管しないことで都との了解が成立した。1994年に法律が改正され、国立国会図書館の施設として永く活用できることになった。国立国会図書館の小史にも、同年7月1日の行に「国立国会図書館法第二十二条の改正(支部上野図書館施設関係)」とある。

同じころ、子どもの読書推進や国立の児童図書館設置への機運が高まっていた。さまざまな意見を聞いて検討した結果、建物は児童書の図書館として使われることになった。

決まってからの動きは、同じページの年表にある。

  1. 1995年11月、国立国会図書館に設置する児童書等の利用に係る施設に関する調査会答申
  2. 1996年11月、「国際子ども図書館基本計画」策定
  3. 1997年1月、国際子ども図書館準備室設置
  4. 1999年4月、国立国会図書館法の一部改正で国際子ども図書館の設置を規定
  5. 2000年1月、国際子ども図書館設立

旧帝国図書館の建物は、ここで国際子ども図書館になる。国立国会図書館の「建物と設備」のページは、この建物を1998年(平成10年)まで支部上野図書館として使われていた施設と書いている。小史では、1998年3月14日に支部上野図書館の改修工事が始まった。

国立国会図書館法の第22条は、この館をこう定めている。おおむね18歳以下の者が主たる利用者として想定される図書及びその他の図書館資料に関する図書館奉仕を、国際的な連携の下に行う支部図書館。国立国会図書館の「沿革」のページは、わが国初の国立の児童書専門図書館と書く。

改修では、明治の建物をできるだけ残した。「施設の紹介」のページによると、施設設計には建築家・安藤忠雄氏が参画し、旧建物の内外装の意匠と構造をできるだけ生かしながら、2つのガラスボックスが既存の建物を貫くイメージで増築した。大規模地震に備えて、免震工法も採用している。

帝国図書館時代の部屋は、名前を変えて使われている。

  1. 旧貴賓室は「世界を知るへや」
  2. 旧特別閲覧室は「児童書ギャラリー」
  3. 旧普通閲覧室は「本のミュージアム」

これらの部屋と大階段には大規模な改修を施さず、補修だけを行った。建物は明治・昭和・平成の三つの時代の建物が一体になった。1999年(平成11年)には東京都の歴史的建造物に選ばれている。

2000年5月に部分開館し、2002年(平成14年)5月に全面開館した。この建物は、のちにレンガ棟と名づけられる。国際子ども図書館には、東京本館の入館条件にある年齢の制限がない。

計画の4分の1で開館し、増築しても3分の1だった建物は、取り壊されずに子どものための図書館になった。

参考:国際子ども図書館「国際子ども図書館の歴史」/国際子ども図書館「施設の紹介」/国立国会図書館「国立国会図書館小史」/国立国会図書館「建物と設備」/国立国会図書館「沿革」/国立国会図書館法(e-Gov法令検索)

次の章:百九年後、中庭ができた

ほかの読みもの