『オフィスの明るさは三百ルクス以上と決まっている』の目次:オフィスの明るさは三百ルクス以上と決まっている
空気の次に条文が数えているのは、トイレの数だ。事務所衛生基準規則の第17条は、事業者が便所を設けるときの決まりを号ごとに並べている。最初の号は「男性用と女性用に区別すること」。そのあとに三つの数字が続く。
- 男性用大便所の便房 同時に就業する男性労働者60人以内なら1個以上
- 男性用小便所 同時に就業する男性労働者30人以内なら1か所以上
- 女性用便所の便房 同時に就業する女性労働者20人以内なら1個以上
それを超えると、60人、30人、20人またはその端数が増えるごとに一つずつ足していく。数えるのは社員名簿の人数ではなく、「同時に就業する」人数だ。男性が61人いれば大便所の便房は2個、女性が21人いれば便房は2個になる。
2021年12月1日の改正前の条文は、同じ中身を「六十人以内ごとに一個以上」と一行で書いていた。数字は変わらず、いまは人数の欄と数の欄からなる表になっている。同じ改正で、すぐ後ろにもう一つ条文が加わった。
第17条の2は「独立個室型の便所の特例」という見出しだ。男性用と女性用に区別せず、四方を壁などで囲まれた一個の便房でできている便所を、条文はこう呼ぶ。厚生労働省のリーフレットは要件として、全方向が壁などで囲まれ、扉を内側から施錠できることを挙げている。仕切り板や、上下にすき間のある壁で囲まれたものは当たらない。同時に就業する労働者が常時10人以内なら、男女別にしなくても、この独立個室型を一つ設ければ足りる。
10という数字は、もう一か所で使われている。男女別の便所を設けたうえで独立個室型も設けると、便房の数を計算するときの人数を、独立個室型1個につき男女それぞれ10人ずつ減らせる。表の上欄にある「設ける独立個室型の便所の数に十を乗じて得た数」がそれだ。リーフレットは、同時に就業する労働者が男性65人、女性65人の例を載せている。
- 男女別の便所だけの場合 男性用大便所2個、男性用小便所3か所、女性用便所4個
- 独立個室型を1個設けた場合 独立個室型1個、男性用大便所1個、男性用小便所2か所、女性用便所3個
独立個室型が一つ増えると、計算に使う人数が男女とも65人から55人になる。55人なら大便所は60人以内に収まり、小便所は30人ごとで2か所、女性用は20人ごとで3個になる。一つ足すと、ほかが三つ減る計算だ。
厚生労働省の質疑応答集は、施行日以降にすべての事業場が独立個室型を設けなければならないのかという問いに、従来の設置基準を満たしている便所を設けている事業場は変更の必要はない、と答えている。選択肢を増やした改正で、全ての事業場に求めるものではないという。施行通達はさらに、常時10人以内だからといって、すでにある男女別の便所の一部を廃止したり、倉庫などに転用したりするのは許容されないと書いている。
トイレの数を決めていた人数は60、30、20、10だった。次に条文に出てくる人数は50で、ここからは部屋そのものが一つ増える。
参考:e-Gov法令検索「事務所衛生基準規則」/厚生労働省「職場における労働衛生基準が変わりました」/厚生労働省「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の改正に係る質疑応答集」/厚生労働省「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和3年12月1日 基発1201第1号)