日本の海は国土の十二倍ある 第4章
第1章で見た約447万km²のうち、面積の大半を占めているのが排他的経済水域です。第2章・第3章の領海の帯の外側に広がる区画です。海上保安庁の領海等概念図では、接続水域を含めて約405万km²と示されます。内水を含む領海の約43万km²と比べると、面積の桁が一段階以上も違います。面積が広いからといって、そこがそのまま日本の領土にあたるわけではありません。地図の青い塗りと、そこで認められる権利の種類とは同じではありません。
排他的経済水域は、原則として領海の基線から外側200海里までの海域を指し、領海を除きます。用語ページでは約370kmと換算されています。排他的経済水域及び大陸棚に関する法律の第1条も、国連海洋法条約第五部に規定する沿岸国の主権的権利その他の権利を行使する水域として排他的経済水域を設ける、と定めています。権利の箱として置かれる水域であり、領海に及ぶ沿岸国の主権とは制度上の言葉の置き方が違います。
用語ページが挙げる権利は、四つに分かれます。まず挙げられるのは、海底の上部水域と海底とその下の天然資源の探査・開発・保存及び管理などのための主権的権利です。人工島・施設及び構築物の設置及び利用に関する管轄権、海洋の科学的調査に関する管轄権、海洋環境の保護及び保全に関する管轄権が、そのあとに続きます。主権的権利と管轄権が並ぶだけで、領土に及ぶ沿岸国の主権ではありません。
接続水域は、基線から外側24海里までの海域で、領海を除きます。同じく約44kmと換算されています。通関・財政・出入国管理又は衛生に関する法令の違反の防止及び処罰を行うことが認められている水域です。概念図では排他的経済水域に含めて約405万と示されるため、接続水域単独の約32万km²と数字を混ぜて読まないことが大事です。内側の帯と外側の広い区画は、制度の層がはっきりと分かれます。
領海等の模式図の注では、国連海洋法条約の公海の規定のうち航行の自由をはじめとする一定の事項が、点線部分の海域にも適用される、とあります。排他的経済水域は閉じた国有地ではなく、公海に近い扱いが残る部分もある水域の区画です。日本の海はすなわち日本の領土だ、という読み方は、排他的経済水域には合いません。約405万km²という広い数字の中身は、まさにこうした主権的権利と管轄権の束にほかなりません。
次に見るのは、水の区画とは別に、海底とその下の区画が条件に応じて外側へ伸ばせる場合がある、という話です。
参考:海上保安庁「領海等に関する用語」/海上保安庁「日本の領海等概念図」/e-Gov「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」
次の章:大陸棚は延長できる