日本の海は国土の十二倍ある 第1章
頭のなかの「日本の大きさ」は、だいたい日本列島のシルエットです。地図帳やニュースの地図で何度も目にする陸の輪郭が、そのまま国の広さの感覚になります。島の並びや海岸線の凹凸まで含めて、陸の形そのものが「日本」だと感じやすいです。ところが海上保安庁の領海等概念図を開くと、陸とは桁の違う数字が並びます。領海と排他的経済水域を合わせた面積は約447万km²で、国土面積は約38万km²、海の側が国土の約12倍あります。
国土地理院の面積調では、令和8年7月1日時点の全国面積は377,973.68km²です。約38万km²という丸め方の根拠は、この公表値にあります。概念図の国土面積も約38万km²と書かれ、陸の側は同じ規模感で並ぶ数字になっています。陸の面積は公的な測定値として固定されている一方、海の側は同じ表のなかでその何倍もの数字になり、桁が一段違って見えます。
内訳も概念図にあります。領海は内水を含めて約43万km²です。排他的経済水域は接続水域を含めて約405万km²です。この二つを足したのが約447万km²で、国土の約12倍という言い方の根拠になります。端数処理の関係で個々の値を足した数と合計が一致しない場合がある、とも注記されており、細かい足し算より、桁の差のほうが先に目に入ります。
ここで言う「海」は、青い色の塗りつぶしすべてではありません。領海は沿岸に近い帯で、排他的経済水域はその外側へ大きく広がる区画です。地図の陸の線のすぐ外に領海があり、さらに沖へ排他的経済水域が続きます。陸のシルエットだけを見ていると、その外側の区画は頭に載りにくいです。見えている形と権利の及ぶ広さは一致せず、447万を38万で割るとおよそ11.8で公式の言い回しも約12倍にそろえています。
境界が未画定の海域もあります。概念図は、外国との境界がまだ決まっていない海域での地理的中間線も含め、便宜上の図示だと注記しています。線が引いてあるから確定した国境という意味ではなく、数字の桁と図示の扱いは別の話です。約12倍という比は、その注記つきの面積表の上に立っています。
陸の形が「日本」だと思いやすいのに、管轄の数字では海の側のほうがはるかに広い。約447万km²と約38万km²の差が、そのずれをはっきりと示しています。見えているシルエットと、権利の区画の広さは同じ尺度ではありません。領海だけを取っても、その面積はすでに国土を上回る大きさがあります。次に見るのは、陸のすぐ外側の帯の数字です。
参考:海上保安庁「日本の領海等概念図」/国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」
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