日本の海は国土の十二倍ある 第2章
第1章で見た約12倍は、領海と排他的経済水域を足した数字でした。その手前の領海だけを取り出してみても、すでに陸の面積をはっきりと上回ります。海上保安庁の領海等概念図では、内水を含む領海は約43万km²です。国土面積は約38万km²なので、領海のほうがおよそ5万km²大きいです。陸の輪郭のすぐ外側に、すでに国土以上の面積を持つ帯がある、という読み方が成り立ちます。
領海は、基線から外側へ12海里までの海域です。用語の説明では、12海里はおよそ22kmと換算されています。沿岸国の主権が及びますが、その行使は国連海洋法条約および国際法の他の規則に従います。主権は上空と海底とその下にも広がります。陸に近い薄い帯に見えても上下に広がる権利の区画であり、面積で比べるとその帯の広さはすでに国土の面積を超えます。
用語ページでは、すべての国の船舶が領海で無害通航権を持つ、と書かれます。沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り、妨げられずに通航できる権利です。領海は、外国の船舶が絶対に入れない海ではありません。主権が及ぶことと通航の自由の一部が残ることとは同じ区画のなかで並び、入れないか入れるかの二項対立だけでは説明しきれない帯です。
内水は、領海の基線より陸地側にある水域です。ここでも沿岸国の主権が及び、原則として外国船舶に無害通航権は認められません。用語では、湖沼や河川、瀬戸内海などが内水の例として挙げられます。領海及び接続水域に関する法律でも、内水である瀬戸内海については他の海域との境界として政令で定める線を基線とする、とあります。ただし、直線基線を当てはめることで新たに内水になった水域では、すべての国の船舶が無害通航権を有します。
概念図に示される約43万km²は、この内水を含めた領海の面積です。陸のシルエットの内側に近い水域と、基線の外側12海里の帯とが、ひとつの数字にまとまっています。地図で陸のシルエットだけを見ていると、その合計の大きさは見えにくいです。領海だけでも国土より広い、という事実は、その合計という桁のなかにあります。
約43万と約38万の差そのものは大きくありません。それでも、陸の形の外側に国土以上の面積が広がっている、という事実は小さくありません。排他的経済水域を足す前の段階で、すでに陸の面積を超えている点が、第1章の約12倍とはまた別の驚きになります。次に見るのは、その帯の幅が場所によって同じではない、という制度上の話です。
参考:海上保安庁「日本の領海等概念図」/海上保安庁「領海等に関する用語」/e-Gov「領海及び接続水域に関する法律」
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